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持ち味薄れた?「孤独のグルメ」特別編への違和感 マンネリこそが持ち味のドラマだったが…

東洋経済オンライン / 2024年10月29日 13時0分

『それぞれの孤独のグルメ』(写真:番組公式サイトより引用)

人気ドラマシリーズ『孤独のグルメ』の特別編と銘打つドラマ24『それぞれの孤独のグルメ』が、テレビ東京開局60周年連続ドラマとして放送中だ。

【写真で見る】『それぞれの孤独のグルメ』では、井之頭五郎だけでなく、毎話の登場人物の食事シーンも

シリーズ放送開始から12年目を迎え、シーズン11作目となった本作は、主人公・井之頭五郎だけではなく、さまざまな職業の人たちの独り飯グルメにフォーカスする新機軸を打ち出している。

それはシリーズの新たな方向性になるのか。第4話まで放送されたが、確かに食事と重なる人間ドラマが繰り広げられ、井之頭五郎の名食事シーンも盛り込まれることで、同作を人気シリーズに押し上げたポイントはしっかり押さえられている。

ただ、違和感がある。情報量が増えたことで、本来の持ち味が薄れてしまっているのだ。

多種多様な主人公と井之頭五郎の独り飯

『それぞれの孤独のグルメ』は、毎話さまざまな世代や職業の主人公が登場し、“誰にも邪魔されず、気を使わず、気の向くまま好きなものを食べる”従来の孤独のグルメフォーマットで、タイトルの通り、それぞれが独り飯グルメを楽しむ。

性別も属性もバラバラの毎話の主人公たちが、街の名もない料理屋で絶品グルメと出会う場には、井之頭五郎もいる。それぞれの人生を背景に各話の主人公が自由気ままに腹を満たす姿が、井之頭五郎のいつもの食事シーンと多重的に描かれる。

第1話では荒川区町屋にある昔ながらの商店街の中華料理店の大将(太田光)、第2話では長距離運転や夜勤で疲れ果てたタクシー運転手(マキタスポーツ)、第3話では救命救急センターで日々激務に追われる看護師(板谷由夏)、第4話では苦手力士の差し違えや事務仕事などで振り回される相撲行司(ユースケ・サンタマリア)が主人公になり、それぞれの孤高の幸福な時間が描かれた。

各話の主人公の人生は少しずつ交錯し、それぞれの料理屋で遭遇する井之頭五郎を通してひとつの物語につながる、オムニバスグルメドラマになっている。

『孤独のグルメ』シリーズは、仕事の合間に腹が減った井之頭五郎が、そのときに訪れていた街のどこにでもありそうな料理屋にフラッと立ち寄り、独り飯を楽しむ姿をただ淡々と描く。

毎話の井之頭五郎が腹を空かす状況と、料理屋および食事は変わるが、やっていることはずっと変わらない。そのゆるさが本作の持ち味であり、シリーズ開始当初はほかの作品と一線を画す新機軸だった。それが長きにわたり支持され続け、ファンを増やしてきたゆえんでもある。

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