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「部下が怖いんです…」部下に辞められた上司の闇 「離職の連鎖」起きる前に離職の心理を理解する

東洋経済オンライン / 2024年10月30日 9時0分

成長欲求とは、苦手を克服し、創造的、生産的でありたいという欲求です。

また、人間の欲求は「私欲」と「公欲」に分けられます。

私欲とは自分がいい思いをしたいという欲求です。ERG理論の生存欲求、関係欲求、成長欲求はいずれも私欲に含まれます。

一方、公欲とは人に喜んでもらいたい、人や社会の役に立ちたいという欲求です。

仕事でお客様や上司・部下に喜んでもらえたり、仕事に社会的意義を感じたりすることで公欲が満たされると、仕事にやりがいや誇りを感じます。

部下もこの4つの欲求を抱いており、会社や上司に対して次のように欲求を満たしてほしいと望んでいます。

・生存欲求→健全な労働環境のもとで十分な給料を払ってもらいたい


・関係欲求→良好な人間関係の中で働きたい、自分のことを認めてもらいたい
・成長欲求→成長の機会を提供してもらいたい
・公欲→仕事を通じて人を喜ばせたい、社会の役に立っている実感を得たい

このうちのどれか1つでも満たされなければ、それが離職の要因となります。

そしてどの欲求が強いかは、部下によって異なります。

4つの離職の要因を把握し、必要な対応をとる

例えば、負担を軽くする、優しく接するという関わりは関係欲求を満たすには良いですが、部下が成長欲求が強く、厳しい環境でより多くの仕事をこなして早く力をつけたいと思っている場合、その関わりでは物足りなくなり、離職することがあります。

また、昇進すると部下の管理が必要になり、上司からの圧力もより強くなるため、人間関係のストレスが増えやすいものです。そのため、人間関係のストレスを抱えたくないという関係欲求を重視する人は、昇進がきっかけで離職するケースがあります。

そのため、離職を防ぐには、まず離職の要因となる要素としてこの4つがあることを理解したうえで、この部下はどの欲求が強いのかを把握し、その欲求を満たす関わりを行うことが必要です。

私はこういった離職の心理と対応に関する指導をしていますが、離職率55%の会社で離職者がゼロになった事例や離職率40%超の部署で離職者がほぼ出なくなった事例など、数多くの成功事例があります。

これを機に離職の心理を理解し、然るべき対応をとることで、上記のような負の連鎖が生じないよう、心がけていただければと思います。

藤田 耕司:経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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