ホンダSUV「WR-V」は、なぜタイで開発されたのか 250万円以下、ガソリンエンジンのみという潔さ
東洋経済オンライン / 2024年10月31日 8時20分
また、シティとBR-Vのプラットフォームを使うことで、走行安定性と居住性を高めることにも成功している。フロントセクションはコンパクトカーに相当するシティを活用しながら、後席の足元あたりから3列シートSUVのBR-Vの骨格を使うことでホイールベースは2650mmと、ヴェゼルより40mm長めに設定(ちなみにヴェゼルのホイールベースは2610mm)。これによって走行安定性が高くなり、ロングドライブの疲労軽減にも貢献する。
また、3列シート車のBR-Vの骨格を活用しているので、後席の居住性も高く、荷室も確保しやすい。とくにインドでは、毎週のように帰省し、広大な国土を何時間もかけて移動する家族が多いそうだ。そのため、大人5人が乗っても余裕のある広さが条件だった。加えて、乗り心地にもこだわり、リアシートに厚みを持たせている。
ちなみにWR-Vの室内寸法は長さ1945mm×幅1460mm×高さ1280mmで、ヴェゼルは長さ2020mm×幅1445mm×1225mmなので、室内長はヴェゼルが上まわるが、幅や高さはWR-Vのほうが広くなっている。それでいて最小回転半径は、ヴェゼルの5.3~5.5mに対して、WR-Vは5.2mと小まわりが利くので、シーンやユーザーを問わず、使いやすいことが容易に想像できる。
走行面に関しては、「インドはお世辞にも道路事情がよいとは言えず、ときには牛が道で寝ていて急停車しないといけないことも……。そこで初期の応答性より、落ち着きのある欧州車的な操作感が好まれる傾向にあります。WR-Vでは、素直なステアリング特性をはじめ、全体的にリニア感より寛容性を持たせたセッティングにしています」と、グローバルモデルとして味付けも変えているそうだ。
デザイン面は、所有欲を満たす動感を意識
そしてデザインは、ボンネットフードの中央を低く、左右のボリュームを持たせ、サイドウインドウの下端に重ね合わせることで一体感を演出。これにより前方の状況を把握しやすく、なおかつ車両感覚も把握しやすくしている。日本では都会的なSUVが人気だが、まだSUVブームになって日の浅いインドでの販売を想定し、スタンダードなスタイルに仕上げた。
ちなみに開発はタイだが、生産はインドのラジャスタン州にあるタプカラ工場で行われる。このタプカラ工場での日本向けモデルの生産もWR-Vが初になるが、グローバルモデルを多数生産してきた実績があり、品質も確保していると平村さん。
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