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兵動大樹「心に響いた松本人志さんからの言葉」 若さを失っても、笑いは深くなっていく

東洋経済オンライン / 2024年10月31日 13時0分

以前、松本(人志)さんから「すべらない話」の時に「兵動は職人やな」と言ってもらったことがあったんです。

僕、昔から職人さんをすごくリスペクトしていて、一つのものを突き詰める姿勢。周りが「よい」と言っても、自分が納得いかなかったら「よくない」と言う姿勢。そんなところにあこがれを持っていたんです。そして、そういう積み重ねが何かしらの深みにつながっている。それもすごいことだなと。

自分で言うのはおこがましい話ですけど、一応、いろいろ考えながらしゃべっている。しゃべり続けている。これは積んでいることにはなるんだろうなと思います。

最近、自分のYouTubeチャンネルにアップするために昔自分が話していたエピソードを見る機会が増えたんですけど、そこでも本当にいろいろと感じます。

「こんなに勢いがあったんや」とか「この目線を持ってたんや」とかそういう驚きもあるんですけど……、これも正直な話、今のほうが面白いと思います。

昔の自分の笑いと何が違う?

若さゆえの切り口とか勢いはあるんです。ただ、細かいところで言うと、女性に対して「おばはん」とかいう言葉を使っている。とがった言葉が随所に入ってるんです。そのほうが勢いはつくのかもしれませんけど、やっぱりその言い方は引っ掛かるんですよね。「おばさん」とか「奥様」のほうが邪魔をしない。

それは本当にたくさんある中の一例ですけど、そういうものが端々に見えるということは、今のほうが目がよくなってるんだろうなと。

そして、今と同じように積み重ねをしていけたなら、10年後、64歳の時のほうが面白くなっている。それも思います。また、そういられるような職人でいないといけない。

30代の自分とお笑いで戦ったらですか? そうですね、時間にもよりますけど、1時間の勝負なら、絶対に今の自分が勝ちますね。瞬発的な一発のパンチ力とかなら30代のほうがあるのかもしれませんけど、総合的に戦ったら負けない。試合運びでいうと、ゆっくり、ゆっくりいくけれども、どこかで捕まえたら離さない。そんな勝ち方になるのかもしれませんね。

地味な人間で、地味な生活をしてきたから、自分が好きなおしゃべりと向き合うことができたのかもしれませんし、それが今の自分に結び付いているならラッキーだなとホンマに思います(笑)。まだまだ、まだまだ足りてませんけど。

とはいえ、人間ですから、いつか本当に終わりが来ます。ただ、吉本興業にはレジェンドの大先輩がたくさんいらっしゃいます。その方々のエネルギッシュな生きざまが背中を押してくださることもあって、どうやって最期の日を迎えるのか。具体的なイメージはまだ今の自分には湧いていない。それが本当のところではあります。基本、漫才師なので、相方から「兵ちゃん、行くで」と言われたら、舞台に出ることになるでしょうしね。

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