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好景気だと?米国在住者が語る「物価高の厳しさ」 NYの平均家賃は約80万円、夜の街も閑散

東洋経済オンライン / 2024年10月31日 17時0分

私に限っていえば、家賃と物価の目まぐるしい早さでの上昇に、賃金の上昇は完全に取り残されている。それでも、クラブ側からすれば確実に出費が増えていることになる。

家賃に加え、「人」と「物」の値段までが高騰しているのだから、当然店を経営する側も苦しい。実際、コロナ禍以降、シカゴでも多くのレストランが休業に追い込まれた。

私の家の徒歩圏内でもここ数年でイタリアン、ラーメン、フォー、ポキ、タコス、中華にタピオカ、アイスクリームの店が閉店した。そして恐ろしいことに、数年が過ぎてもそれらの店舗の跡地には「For Lease(テナント募集)」の看板が掲げられたまま、次のテナントが入らず、空き家になっている。

生き残ったレストランも営業時間の変更を余儀なくされた。スタッフを深夜まで拘束する余裕がなくなった多くの店が、ラストオーダーの時間を大幅に早めた。

その結果、現在夜の9時半を過ぎて食事のできるレストランを探すことは至難の業だ。平日の夜、10時を過ぎたシカゴの街は驚くほどに静かだ。それでも何かを食べたいとき、日本のようになんでも揃うコンビニがあればと郷愁にふける。

人気コンビニが突如、全店閉店

実は、数年前ついにシカゴにも便利なコンビニが登場した。「フォックストロット」と名付けられたその店は、さながらもとの言葉が指し示すダンスのスタイルのように軽やかに、そしてスピーディーに店舗の数を増やしていった。

酒類の宅配専用アプリとして始まったフォックストロットは、コロナ禍でサービスを拡大させ、4年間のうちにシカゴだけで15店舗をオープンし、ウエストループに荘厳な本社ビルまで構えた。

まさにジェントリフィケーションの進む高級エリアの一等地に軒並み出店を続け、富裕層を取り込んだ店舗経営を行った。おしゃれな惣菜やワインを取り揃え、カフェも併設した店舗では連日ビジネスパーソンたちがパソコンを広げたり、ワイングラスを傾けたりしていた。

そんな誰もが絶好調と信じてやまなかった2024年4月23日。シカゴの15店舗を含む全33店舗が経営不振により突然の無期限休業となることが発表された。

顧客はもちろんのこと、従業員さえも寝耳に水で、多くのスタッフが当日の朝、いつも通り出勤した際に閉店の事実を告げられたという。本社は声明をリリースし、連邦倒産法の第7章、いわゆる「チャプター7」を適用すると発表した。

即日シカゴのローカル・ニュースで大々的に報じられ、改めて多くの人々がこの「好景気」に疑問を感じることとなった。

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