AdobeのAIで延長した動画は「報道」に使えるのか 生成AI活用でクリエイターの作業効率化へ
東洋経済オンライン / 2024年10月31日 9時0分
だから、多くのクリエイターと相談し「映像で2秒、背景音で10秒」に決めたとのことなのだ。「このカットがもうちょっと長ければ」というニーズは確実にある。
また、アドビはカメラメーカーなどクリエイティブにかかわる約3700社とともに、「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative= CAI)」という、デジタルコンテンツの透明性を確保する業界標準を推進している。
この仕組みを使えば、デジタルデータに、透かしのように撮影者、使ったカメラ、編集者……などの製作者情報を暗号化して埋め込むことができる。
ますます混迷の度合いを深めていくデジタルコンテンツの真正性、権利者情報に一石を投じる取り組みだ。
解像度や形式を変更して保存し直しても、この「デジタル透かし」は残り続ける。
たとえば、表示して画面キャプチャを撮るなど、元データを回避する手立てが取られても、元データが先に登録されていれば、本来の著作権者を優先できるように管理されることになっている。
この機能を利用して、アドビの生成AI機能を使って制作したコンテンツには、「生成AIを利用して制作した」という、データ的に見ればわかる「デジタル透かし」が入るようになるのだ。
報道などに使用できない仕組み……ではなく、あくまで権利者を調べることができる仕組み……ではある。
アドビの主張としては、アドビのソフトウェアはあくまでツールなので、「すべてのニュース映像に使うことを禁じるべきなのか?」「どこまで生成AIを使っていいのか?」は、あくまで利用者側の判断ということになる。
ニュース映像でも尺を調整するぐらいはいいのか? 一切ダメなのか? 報道はダメだとしてもバラエティ番組ならいいのか? などは、これから利用者側のモラルとルール作りが必要になっていくことだろう。CAIはそうした時に拠り所となる仕組みだ。
著作権的に問題にないデータだけを学習
生成AI画像の学習データについてはどうだろうか?
生成AIの仕組みを理解している人なら、学習データに使っても著作権侵害にならないことはわかっていると思う。
学習はコピーとは違う。人が絵を見て記憶するのと同じように、その絵を「絵」たらしめている要素を抽出して学習していくのだ。
もちろん、人間が描いた絵と同じように、既存の著作物に酷似した絵が生成されることはあり得る。そして、人間の場合と同じように、その既存の著作物に酷似した絵を利用(出版する、ネットに公開するなど)したことによって、著作権侵害が起こる可能性はある。生成するかどうかではなく、あくまで利用者が利用するか否かが問題なのである。
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