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「上司が休まないと休みにくい」会社の共通点2つ 有給休暇「取らない」ではなく「取れない」の背景

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 8時10分

働き方改革が加速化しないもう1つの理由は、日本企業の70%が「労働集約型」のビジネスモデルであることです。

多くの企業が、基本的には「働く人と働く時間を増やせば、売り上が上がる」という構造になっていますから、働き方改革によって労働時間を減らすと、ダイレクトに業績に影響が出てしまいます。

現在、日本企業の働き方改革の取り組みは、残業時間の短縮を柱とした労働時間の削減が中心になっているため、なかなか改革が進まないのです。

数多くの企業で、日常的に繰り広げられていのが、チームリーダーがメンバーに対して、「みんな、もうちょっと休んでいいぞ、俺は働くけど」と言っている光景です。

会社から「法令遵守」と「労働時間削減」を厳命されている上司は、何とか部下を休ませようとしますが、業績への影響を考えると自分では休むことができません。

それならば、部下は休めるのか……といえば、それほど簡単ではありません。

日本企業の人事評価は、勤続年数や勤務態度、役割などが基準になる「メンバーシップ型」が中心であり、グローバル企業のようなスキルや成果を基準にした「ジョブ型」ではないため、多くのビジネスパーソンが「マイナス評価を回避するには、どうすればいいか?」を考えてしまうのです。

休みを取らないと評価が下がる仕組み

上司から「休んでいいよ」と言われても、その言葉を額面通りにすんなりと受け取れない理由がここにあります。

上司が休んでいないのに、自分だけ休みを取ることに対して、「申し訳ない」という思いだけでなく、マイナス評価を下されることが気になって、仮に営業目標を達成していたとしても、休むことを躊躇してしまうのです。

上司に忖度するとか、空気を読むというのは、日本人に特有の文化であり、美徳でもありますが、それがマイナスの効果を生み出すこともあるのです。

私が働き方改革の支援をしている大手企業では、社長や幹部を含む管理職全員が「年間で何日間の休みを取らないと評価が下がる」という仕組みを取り入れています。

この仕組みによって、繁忙期を過ぎると、平日に1週間くらいの休みを取る管理職が出てくることで、会社全体に「休みやすいムード」ができ上がりました。

上司が率先して休みを取れば、部下も気兼ねなく休むことができるようになり、現在では、全社員の有給休暇の消化率は「98%」に達しています。日本企業では、こうしたトップダウンの「休み方改革」も非常に重要になってくると考えています。

越川 慎司:クロスリバー代表取締役

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