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NHKオフィスで演奏する音楽番組を強烈に推す訳 藤井風、稲葉浩志、くるりなどの魅力を再発見

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 12時0分

それにしても、なぜ人々は最近、そんなにライブに行きたがるのだろう。いや、人々をライブに向わせる「生」への渇望が生まれる理由はよくわかる。

サブスクリプションや動画サイトなど、ネットワーク経由をした「出来合い」のデジタル音源を、ずっとイヤフォンで聴き続けていると、「出来合い」ではなく「出来立て」の生演奏・生歌を、空気をブルブル震わせる生音で聴きたいというニーズが高まるのは、ある意味で自然なことだ。

「生」感が重視される時代

ただ特に、最近のスタジアム級の大規模コンサートなどでは、サウンドは過剰に加工され、また照明などの演出も華美かつ過多で、大人数の観客一体感の中、それはそれで盛り上がりはするけれど、「これ、あんがい『生』じゃねーな」という感覚に陥ることがある。「これ、『出来立て』じゃなく『出来合い』じゃね?」とか。

そんな流れの中で、比較的「生」感の担保されるライブ形態である「フェス」の隆盛があるのだろうけれど。

そんな中、ネットワークの中でも、「生」感を持って音楽を届けようとしたのが、2019年に生まれたサイト「THE FIRST TAKE」である。

「FIRST TAKE」=「一発撮り」をコンセプトとして、音楽ファンの幅広い支持を得た。ただ、今となっては憶えている人も少ないかもしれないが、昨年、このTHE FIRST TAKEで、ボーカルの音程を修正する「ピッチ補正」が行われているのではないかという指摘が取り沙汰されたのだ。

真偽はともかく、重要なのは、そういう話題が盛り上がるほどに、今の音楽ファンは「生」の判定にシビアだということだ。

逆に言えば「これ、本当に生?」という疑いの目を持ち続けながら、日々、音楽コンテンツに接している。事実私も、紅白歌合戦のときなどは「生(歌・演奏)チェック」に忙しい。

正真正銘の一発撮り

話が長くなったが、こういう背景の中で、『tiny desk concerts JAPAN』の存在価値がある。

ライブやフェス、さらには白バックの非日常空間で撮影されているTHE FIRST TAKEではない、オフィスの執務室という日常の延長のような空間だからこそ成立する、こけおどし、ごまかし、めくらましの一切利かない音楽番組。

さらにメンバー1人ひとりの腕っぷし、声っぷしが問われる音楽番組、「出来合い」ではなく「出来立て」の音楽に触れられる音楽番組(実際、収録を観覧したNHKの知り合いに聞いたが、正真正銘の一発撮りだったという)。

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