「競争なんてしなくていい」で育つ子どもの不幸 和田秀樹「勝ち負け不要」でも社会は競争だらけ
東洋経済オンライン / 2024年11月3日 14時0分
「幼児教育でもっとも大事な点は、子どもにどう向き合うかという親の意識」ーー。長年、受験指導にあたり、教育に関する書籍を多数出版してきた精神科医の和田秀樹氏は、変化の激しい時代・正解のわからない時代において、子どもたちをどのように育てるか、という点を、さまざまな視点から論じてきました。
本記事では、和田氏の著書『5歳の壁: 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』から一部を抜粋し、競争を避けたがる保護者の増加など近年の風潮と、そのことによってどのような影響があるかについて考えていきます。
1本目:「東大を出れば安泰」ではない時代に必要な教育
2本目:「褒める・叱る」子どもの未来を育むバランスの妙
「やさしくて性格の良い子」に安心する保護者
子どもたちの受験指導をしていて感じるのは、最近の保護者には非常に神経質になっている方が多いということです。
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最近では我が子が自信過剰だとか、負けん気が強いと人から思われることを恐れている親御さんも少なくありません。やさしくて性格の良い子だと言われると、安心する親も多いです。
また、我が子が友だちに勝ったことで得意になっていたり、負けたことを悔しがったりすると、「性格が悪いって言われるから、そんなことは言ってはいけない」とか「あまり勝ち負けを考えない方がいいよ」などと言って、負けん気の強い子を潰してしまう親もいるようです。
しかし、負けん気が強いというのは、実はとても大切な特性なのです。
子ども時代から何かあったらすぐに自信をなくしてやる気をなくしてしまうようでは、これから先の長い人生を生き抜いていくことは難しくなります。「絶対に自分は負けない」「負けてたまるか」という強い気持ちが、この先に待ち受けているかもしれない困難を乗り越える原動力になるのです。
もちろん、勝つためには何をしてもいいという考えはよくありませんが、根底に「人に勝ちたい」「負けたくない」という気持ちがなければ、子どものやる気は育ちません。ましてや格差社会が進む社会では、負けん気の強い方が「何とかして生き延びよう」という力が高くなるのは確かです。
ですから、我が子の負けん気が強くても親御さんは気にする必要はないと思います。
日本というのはダブルスタンダードな社会です。今の学校では傷つく子どもを減らそうという意図から、競争が極力避けられるようになっています。
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