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「風が吹いても痛い」だけではない痛風の深刻な害 「尿酸値の異常」はけっして軽く見てはいけない

東洋経済オンライン / 2024年11月3日 16時0分

痛風の本当の害は、腎臓に大きなダメージを与えることだという(写真:keechuan/PIXTA)

「風が吹いただけで痛い」といわれるほどの激痛で知られる痛風ですが、腎臓専門医の髙取優二氏によれば、痛風の本当の「害」は、その痛みではないそうです。

およそ37兆個あるとされる、人間の細胞から出るゴミを処理している腎臓。その機能の低下がもたらす深刻な影響とはどんなものなのか、髙取氏の著書『腎機能を自力で強くする 弱った腎臓のメンテナンス法』から、一部を抜粋・編集して紹介します。

痛風の本当の害は「痛み」ではない

人間の体の細胞の数は、およそ37兆個といわれています。1つひとつの細胞が血液で運ばれてきた栄養と酸素を受け取り、ゴミや二酸化炭素を血液に戻しています。

【イラストでわかる】腎臓が処理している体内の「ゴミ」とは

腎臓がふるい分けしている主なゴミには次のものがあります。

〇尿素 タンパク質が分解された後にできるゴミ。

〇クレアチニン 筋肉が運動するためのエネルギー源の燃えカス。

〇尿酸 細胞の中に含まれる遺伝子の構成成分であるプリン体が、肝臓で分解されたときにできるゴミ。

尿酸は、血液の中で増え過ぎると、結晶になって関節にたまっていきます。すると、関節やその周辺で炎症が起こって腫れあがり、激しい痛みが表れます。

これが「風が吹いただけで痛い」が由来の、痛風です。血液検査では、「尿酸値」という項目の数値が高くなります。

尿酸値に異常がみられたら、レバーをはじめとした内臓類、魚卵、ビールなど、プリン体が多く含まれる食品を控えることが必要となります。薬を飲んで痛みが抑えられているからといって、プリン体がたくさん含まれているビールを飲むなど、痛風を軽く見ている人は少なくありません。

しかし、痛風の本当の害は「痛み」ではなく、腎臓に大きなダメージを与えるということです。痛風(尿酸値が異常に高い状態)が続くと、尿酸の結晶が腎臓にたまり、炎症が起きると、腎臓の機能が低下します。この状態は「痛風腎」と呼ばれています。

痛風の症状が表れるのは主に足の親指のつけ根ですが、先ほど述べた痛風腎をはじめ、体のさまざまな部分もダメージを受けています。これを「臓器間ネットワーク」というのですが、これに関しては後ほど詳しく説明しましょう。

腎臓は、細胞が出したゴミのほかに、腸内細菌が作り出した毒素や、糖尿病の治療に使われる血糖値を下げるインスリン製剤などの成分も処理しています。

これらのゴミや毒素、薬の成分が増え過ぎると、腎臓の処理が追いつかず、血液の中にたまっていきます。こうして引き起こされるのが、「尿毒症」です。全身がむくんで、皮膚が黒ずみ、骨はもろくなって、目が見えにくくなり、思考力が低下します。このように腎臓が処理しきれなくなった毒素が体中を回って、全身の機能が落ちてしまうのです。

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