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ドジャース球場から20分「ロス郊外」のヤバい治安 市議選で治安が最優先事項になっている街の今

東洋経済オンライン / 2024年11月3日 10時0分

ドラッグ依存のホームレスが急増していることを指しているのは、明らかだ。その下には「サンタモニカで犯罪の被害に遭った人はいますか? 私たちと一緒に集団訴訟を起こしましょう」というフレーズが印刷されている。

この垂れ幕を掲げたのは「サンタモニカ連合」という非営利団体の市民グループだ。この商店街内に店舗ビルを所有し、不動産業を営むジョン・アレ氏がこの団体の代表を務める。アレ氏はこう語る。

「サンタモニカ市議会は、市内の公園内で、ホームレスの人たちへの注射器の無料配布を許可してきた。ドラッグ依存症のホームレスが昼間からたむろし、芝生の上には注射器があちこちに落ちている。そんな公園で、私たち住民は、子どもたちを安心して遊ばせることはできない」

実際に、サンタモニカ市内の複数の公園内で、ロサンゼルス郡の公衆衛生局が、地元のクリニックと協力して、エイズの蔓延を防ぐため、新しい注射器をホームレスの人々に配布し、使用済みの注射器と交換するプログラムを実施してきた。公園でドラッグを注射する人々や、道端に落ちている注射器などの様子をアレ氏は映像で詳細に記録している。

だが、サンタモニカ市議会メンバーたちは、アレ氏の主張にこう反対する。「注射器配布は、ロサンゼルス郡がその権限において実施しているプログラムで、私たちの市にはそれを止める権限はない」。

さらに市議会のメンバーたちは、アレ氏の垂れ幕の文言について、「商店街のビジネスに悪影響しか与えない」と強く批判した。

観光客たちは、この垂れ幕をちらっと見上げながら通り過ぎていくのだが、その脇を、ビニール袋をいくつも抱えて歩くホームレスの人がいる。観光客とホームレスが同じ空間で共存している、という感じだ。

「あの垂れ幕は大袈裟すぎる」

では「サンタモニカは安全ではない」と断じたこの垂れ幕の文言は、どこまで本当なのだろうか?

ハリス支援のための資金集めをすべく、仲間と自宅でガレージセールを開いていたサンタモニカ市民のベスさんは、「あの垂れ幕は大袈裟すぎる」と語る。「うちの娘はプロムナードの商店街のレストランで働いているけど、危ない目に遭ったことはないし、商店街の治安は、コロナ禍直後と比べると格段に改善しているのに」。

ベスさんの自宅周辺は、同じ市内でも、海岸から車で10分ほど離れた場所にあり、治安は悪くない。近くの公園の芝生の上で寝ているホームレスはいるものの、道路脇で寝ているホームレスはいない地域だ。

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