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居場所を失った「いじめっ子」を救った祖母の告白 「ワンダー 君は太陽」のアナザーストーリー

東洋経済オンライン / 2024年11月4日 12時30分

孫が犯した過ちを知るサラは、ジュリアンの「あの経験で学んだのは人に深入りしないこと。意地悪もしないしやさしくもしない。ただ普通に接する」という冷めた言葉に胸を痛める。そこでサラは、それまで語ろうとしなかった少女時代について、孫に話して聞かせることを決意する。

ナチスドイツ占領下で過ごした祖母の話

それはフランスがナチスドイツの占領下にあった1942年のことだった。フランスの片田舎に住んでいたサラ(アリエラ・グレイザー)は、両親の愛情を一身に受けて育った普通の少女だった。

だがある瞬間を境に、彼女の存在は加速度的に「よそ者」と見なされるようになる。普段利用していた店には「ユダヤ人お断り」の貼り紙が目立つようになり、ほのかに思いを寄せていたクラスメイトからはユダヤ人として侮辱されてしまう。自分自身は何も変わっていないのに――。サラは戸惑いを隠せなかった。

そんな中、ついにサラが通っていた学校でも、ユダヤ人の一斉検挙が行われるという報せが飛び込んでくる。ユダヤ人の生徒たちは、教師たちの手引きにより学校の裏から逃げだそうと試みるが、とあるクラスメイトの密告により生徒たちが次々と捕らえられてしまう。

そんな危機的な状況の中、ひとり身を隠していたサラを助けたのは、クラスメイトのジュリアン(オーランド・シュワート)だった。

幼い頃に患ったポリオの後遺症で足が不自由だったジュリアンは、クラスメイトから「トゥルトー」(カニ)と呼ばれ、からかわれていた。

サラ自身もそれまでジュリアンに関心を寄せることもなく、名前すら知らなかった男子だった。だがサラに密かな恋心を抱いていたジュリアンは、サラを家の納屋にかくまうことにする。

もしナチスに見つかれば命の危険にさらされるにもかかわらず、ジュリアンの両親も必死になって彼女を守ってくれた。人を一面でしか見ていなかったことに気づいたサラは、ジュリアンが豊かな知性と気高い精神を持つことを知るようになるが――。

本作のメガホンをとったのは、ハル・ベリーにアカデミー賞主演女優賞をもたらした『チョコレート』で、世界的映画監督となった名匠マーク・フォースター。

その後も「ピーターパン」の誕生秘話をジョニー・デップとケイト・ウィンスレットを迎えて描いた『ネバーランド』や、「くまのプーさん」のその後の物語となる『プーと大人になった僕』といった人間ドラマの秀作を発表する一方で、『007/慰めの報酬』やブラッド・ピット主演のゾンビ映画『ワールド・ウォーZ』といった大作映画も手がけるなど、規模の大小を問わず、数多くの意欲的な作品を発表してきた。

人々を分断してはいけない

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