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「昔語り」より嫌われる上司の言動「ワースト1」 「2分ルール」で自分も部下も周囲も変わる!

東洋経済オンライン / 2024年11月5日 8時0分

これに対し、最初から「2分で終わる」と予告されていれば、受け入れ態勢ができます。それに「この指導は上司が準備を重ねて洗練させた2分間だ」と考えると、多少厳しい言葉を言われても素直に受け入れやすくなります。

・周囲の人たちのメリット
パワハラを見ている人たちは、自分がされているわけでなくても不快感からパフォーマンスが下がっていきます。多くの人は心の中で「パワハラを受けている人を助けてあげたい」と思っていても、実際に怒っている上司に「それはパワハラじゃないですか?」とその場で割って入るのは難しいものです。

でも2分間ルールがあれば、「2分過ぎましたよ」とタイムマネジメントの観点から割って入りやすくなります。

ゆっくり、はっきりとした口調で話す効果

以上から、2分間ルールは実施する価値があると考えられ、私のクライアント企業にも推奨しています。

逆に「問題が発覚した瞬間、感情をそのまま口に出した」場合、そのときの言葉は、あなたの本心ではなく、認知バイアスが作り出した、最悪の言葉である可能性があります。最悪な言葉は相手を傷つけ、あなたの人生をも転落させます。私は認知バイアス的言動で、全てを失った人をたくさん見てきました。この悲劇はもう繰り返してほしくありません。

私のアメリカ人の友人、T氏は、部下に指導するときは、いつもゆっくりとはっきりとした口調で話しています。それでも、2分で指導は完結します。

「そんなにゆっくり話していて大丈夫なの?」と聞いたところ、彼は「試行錯誤を重ね、このスピードが最も相手に伝わりやすいという結論になったんだ。ゆっくり話すことで、私は感情的になっていないという意思表示になり、相手の心の武装解除に繋がる」と答えました。彼のようにペースを変えて、相手に共感する姿勢を示す方法をペースナッジと呼びます。

このような姿勢はプロフェッショナリズムを感じさせます。「いいか、これが最後の機会だ! わかっているのか!」と大声で指導されるより、冷静に「これが最後の機会です。同じ過ちを繰り返さないようにしてください」と言われたほうが、行動を変えたいと思うものですよね。

「声を荒らげるのは年に3回まで」など決める

また、パワハラをした人の多くは「相手の言動を正す必要があるから指導した」と言います。でも、正すのに大声を出したり不快な思いをさせたりする必要はありません。だったら、大声を出さない、と自分で決めてしまうのはいかがでしょう?

たとえば私は、他人を指導する場合でも、大声を出すことはあまりありません。その理由は「声を荒らげるのは年に3回まで」と決めて、それを周りに言っているからです(コミットメントナッジ)。

腹が立ったとしても、「ここで3回のうちの1回を使ってしまうのはもったいない。年末まで残しておくか」と自分のためにセーブしておきます。結果として、全く声を荒らげない年もあります。

人間なので腹を立てることは多々あります。でも、怒りの感情を行動に移すかどうかの選択権は、自分が持っています。

私は他人から厳しい言葉を言われるのが嫌です。そのため、私も他人のミスに対して厳しい言葉を使いません。すると、相手も私のミスに優しい言葉で接してくれるようになりました(返報性ナッジ)。
 
このように、行動経済学のナッジ理論を使えば、再現性のあるルールをつくって、組織を変えていくことができるのです。

⽵林 正樹:⻘森⼤学客員教授

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