気がついたら"大モテ"国民・玉木氏「素顔と評判」 「売れない地下アイドル」と揶揄された過去も
東洋経済オンライン / 2024年11月5日 13時15分
きっかけになったのは2011年3月の東日本大震災で決壊した「藤沼貯水池」による内陸津波。田植え前に満水状態だった同貯水池から150万トンもの水が流出し、1歳から89歳までの8人の命をあっという間に奪っている。
香川県人たる玉木氏は、「讃岐のさるまね」と言われる通り、いいと思えばすぐ取り入れる。「103万円の壁の引き上げ」に注目したのも、「もっと働いて収入を得たい」とする党学生部の提言を採用したものだ。
どうしても「上から目線」になりがちの国の政策を、「現場目線」に変えていくというのが玉木氏のやり方だ。その象徴となるキャッチフレーズが「対決より解決」で、今回の衆院選のスローガンである「手取りを増やし、インフレに勝つ。」が有権者の心を掴んだのだろう。
とはいえ、当初から国民民主党は国民の多くの支持を得ていたわけではない。政党支持率は1%前後とほとんど「視力のような数字」で推移し、SNSを中心に若年の男性層からの支持を集めたものの、玉木氏は「売れない地下アイドル」と揶揄されてもいた。
裏金を追及するのではなく、「生活の向上」訴えた
それが今回の衆議院選では、かえって利点となったのだろう。立憲民主党の野田佳彦代表や共産党の田村智子委員長が主として自民党の裏金問題を追及したのに対して、玉木氏はもっぱら「生活の向上」を訴えた。
すでにガソリン税の一部を軽減するトリガー条項凍結解除など、国民生活の負担減のキーワードは発信していた。当時の岸田文雄首相に対して、これを受け入れることを条件に2023年度予算案に賛成した。
もっとも、こうしたやり方が成功したとは言いがたい。宏池会の中興の祖である故・大平首相の“後継”を自負する玉木氏は、宏池会会長だった岸田前首相と直接電話し合う関係だったが、岸田前首相はトリガー条項凍結解除ではなく、ガソリン代や電気代は補助金の形で国民負担を軽減させた。ソフトな外面とは裏腹な冷静な内面が見てとれる。岸田前首相はおそらく玉木氏の台頭を警戒したのだろう。
一方で、玉木氏のそうした自民党への接近を、自民党と対峙する政治勢力をつくることを目指す前原誠司代表代行(当時)は快く思ってはいなかった。前原氏は秘書だった斎藤アレックス氏らと国民民主党を離れ、2023年11月30日に教育無償化を実現する会の結成を発表した(今年10月3日に日本維新の会に合流)。
この頃が国民民主党の「底辺期」だったかもしれない。自民党の政治とカネ問題を受けて年末の内閣不信任案に賛成した国民民主党は、トリガー条項をめぐる3党協議からも離脱。
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