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大阪が世界に誇るバリアフリー先進都市である訳 ハード面でもハート面でも体現するDE&I

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 12時0分

1970年に大阪万博が開かれた際、日本のあるバリアフリー設備が世界の注目を集めました。それは視覚障害者の歩行を助ける点字ブロックです(写真:白熊/PIXTA)

社会的意義があるからこそ、ビジネスとして儲け続けていく必要がある。そうした信念のもと、障害のある当事者からの目線で自社サービスを生み出したり、製品や施設の設計に改良のアドバイスを行うことで、成長を遂げている企業がミライロである。2010年に同社を設立した垣内俊哉氏も、骨が弱く折れやすい病気があり、幼少期から車いすでの生活を続けている。

本記事では、垣内氏の新著であり、ミライロの15年にわたるビジネスを描いた『バリアバリューの経営』より一部抜粋・編集のうえ、大阪が世界に誇るバリアフリー先進都市である理由を解説する。

日本が世界へ示した点字ブロック

東京オリンピック・パラリンピックや2025年に開催が予定される大阪・関西万博を契機として、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の実現に向けた気運が高まっています。そんな中、国際的なイベントがあるからDE&Iを推進するという考えに、違和感を覚える方もいるでしょう。

もちろん、何もなくとも、誰もが安心して快適に暮らせる社会に近づけばそれに越したことはありません。ですが、オリンピック・パラリンピックや万博といった大規模イベントが、公共施設や交通機関、そして人々の意識の変革に大きく貢献することを、これまでの歴史が証明しています。

2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、コロナ禍で海外から渡航してくる人の受け入れに制限はあったものの、世界中から大勢のアスリートや報道関係者が来日し、日本のバリアフリー化の進歩を目にしました。

また、世界最高水準のパラアスリートの姿に世界中の人が心を震わせました。彼らが発する猛烈なエネルギーや驚異的なパフォーマンスに圧倒され、障害者に対するイメージが変わった人も多いはずです。

実際に、東京オリンピック・パラリンピックの前後で、DE&Iに対する意識が大きく変化したという調査結果もあります。大阪・関西万博でさらにまた一歩、前進することは間違いないでしょう。

実は日本には、世界に先駆けてバリアフリーを実現し、発信してきた歴史があります。1970年に大阪万博が開かれた際、日本のあるバリアフリー設備が世界の注目を集めました。それは視覚障害者の歩行を助ける点字ブロックです。岡山県出身の発明家、三宅精一さんが発明し、1970年には旧国鉄阪和線の我孫子町【あびこちょう】駅に鉄道の駅としては初めて設置され、全国へ広がっていきました。

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