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「らくらくスマホ」新モデル開発で直面した"ニーズ" 押し込み操作とタッチ操作で新たな需要を開拓

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 7時40分

10月末に行われたらくらくスマートフォンの発表会(筆者撮影)

「変えない」と「変える」の二刀流で、FCNTは2000万人市場に挑む。

【写真で見る】らくらくスマートフォン F-53Eは押し込む操作がタッチになる「らくらくタッチパネル」を搭載

「変化を望まない」ユーザーの声に応える

25年前、ドコモ向けフィーチャーフォンとして誕生した「らくらくホン」。その後スマートフォンへと進化し、らくらくスマートフォンとして12年の歴史を重ね、累計出荷台数4000万台を誇るシニア層向け携帯電話の代表格となった。

そして今回、FCNTが新型らくらくスマートフォンの開発に着手した際、ユーザー調査で浮き彫りになったのは、変化を望まない声の大きさだった。実に9割のユーザーが「使い勝手を維持してほしい」と回答したのである。

「当たり前のことを当たり前にはしない」。FCNT 外谷一磨氏はそう語る。スマートフォンの大画面化トレンドに逆らい、あえて5.4インチの特注ディスプレイを開発。使い慣れた持ちやすさを守るための判断だ。

この開発思想は、ドコモ向け新機種「らくらくスマートフォン F-53E」に色濃く表れている。最大の特徴が「らくらくタッチパネル」だ。一般的なスマートフォンが画面への軽い接触で反応するのに対し、画面を実際に押し込む動作で操作する独自の仕組みを採用。押した時には振動で実際のボタンのような操作感が得られ、スマートフォンに不慣れな利用者でも誤操作を防ぎながら確実な操作が可能となる。この感触重視の設計を新機種でも継承しつつ、ディスプレイの輝度は従来比1.3倍に向上させ、屋外での視認性も高めた。

カメラにはソニー製の高性能なイメージセンサーを採用し、暗所でも鮮明な写真が撮れるよう配慮した。背面カメラの配置にも独自のこだわりがある。一般的なスマートフォンが端に寄せて配置するのに対し、らくらくスマートフォンは中央に固執する。左右どちらの手で持っても自然に構えられ、指が写り込みにくいという利点を守るためだ。カメラを中央に配置すると他の部品が搭載できなくなる制約があるため、高度な設計が必要になるという。

新たに背面には自律神経の計測機能も備える。センサーで読み取ったデータを独自のアルゴリズムで分析し、高度な計測とアドバイスを提供する。

新市場を開拓する2つの新機種

一方、FCNTは従来とは異なるアプローチの2機種も投入する。Y!mobile向け「らくらくスマートフォン a」とSIMフリーの「らくらくスマートフォン lite」だ。これらの機種では、従来機種の特徴的な「らくらくタッチパネル」はあえて搭載せず、使いやすさを重視したユーザーインターフェイスの実装にとどめた。いわば、一般的なスマートフォンを「らくらくナイズド」するアプローチだ。

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