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「らくらくスマホ」新モデル開発で直面した"ニーズ" 押し込み操作とタッチ操作で新たな需要を開拓

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 7時40分

「らくらくスマートフォン a」は、アクティブシニアをターゲットに据える。自ら積極的にスマートフォンを使いこなしたいという層に向け、6.1インチの大画面、4500mAhの大容量バッテリー、5010万画素カメラと、ハードウェアスペックを重視した設計となっている。自律神経測定機能も搭載し、健康管理をサポートする。

Y!mobileは、この新機種に合わせて充実したサポート体制も用意する。専任のスマホアドバイザー1200人を配置し、操作の不安に対応。さらに、24時間365日・回数無制限で利用できる健康相談サービス「かんたんHELPO」や、歩きながらフレイル対策ができるアプリ「うごくま」なども提供する。料金面では、シニア向けプランとして月額1958円(データ4GB、国内通話かけ放題)という手頃な価格を実現した。

「らくらくスマートフォン lite」は、新たな市場のニーズに応える。これまで家族全員でMVNOへの乗り換えを検討する際、シニア向けのらくらくスマートフォンという選択肢がなかった。この課題に応えるべく、SIMフリー端末として開発され、想定価格5万円程度で提供される。なお、この機種はNTTドコモもSIMフリー端末として取り扱う。ドコモアプリなどをプリインストールしない異例の機種となる。

デジタルデバイド解消への使命

「Lenovoグループとなった新生FCNTが、なぜらくらくスマートフォンを続けるのか」。FCNT副社長の桑山泰明氏は、その意義を問い直すところから始めたという。60歳以上の約半数、推計2000万人が「スマホを使いこなす自信がない」と答える。一方、デジタル庁によると来年までに行政手続きの97%がオンライン化されるなど、スマホは生活インフラになりつつある。

その責任を果たすため、FCNTは端末とサービスの両面でシニア層を支援している。らくらくコミュニティには300万人を超える会員が集い、シニア向けSNSとしては国内最大規模となった。「社会とのつながりを感じられなくなった」「デジタル化についていけない」という不安を抱えるシニア層に、共に学び楽しむ場を提供している。

シニア向けスマートフォン市場の先行きは厳しい。FCNTとシェアを分け合ってきた京セラが撤退を表明するなど、市場は縮小傾向にある。しかし、デジタルデバイド解消という社会的使命は、むしろ今こそ重要だとFCNTは考えている。

Lenovoグループ傘下となって初めてのらくらくスマートフォン投入。その視線は、すでに海外市場にも向けられている。桑山氏はグループ内部からの期待を語る。「Lenovo社内のエグゼクティブから英語版はいつ出すのかと言われている」という。しかもそれは、折りたたみスマートフォンが良いという。

ただし、どの国のどの市場に向けて展開するかは、マーケット調査を重ねながら慎重に判断していく考えだ。

従来のドコモ専用モデルから一気に3ブランド展開へ。FCNTの新たな戦略が動き出した。

石井 徹:モバイル・ITライター

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