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地方の「教育困難校」で起きているリアルな問題 教育現場の課題も昔からがらりと変化している

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 8時20分

1つの指標で完結するのではなく、人間力も上げなければならない。そうすると、学校の先生にかかる負担はとても大きいものになっていきます。学力だけではない、いろんなことを求められるようになって、教育現場は困惑しています」と語ります。

一筋縄ではいかない学校運営

実際に中山先生が訪れた、とある県の「教育困難校」ともいえる小学校は、一筋縄ではいかない状況に置かれていました。

「SNSの登場によって、先生の目に見える外側のいじめに加えて、目に見えない内部のいじめなども問題視されるようになりました。また、そうしたところから情報を得ているからか、子どもたちが発する言葉に対しても、叱って終わりにできないものも多いです。

現在訪問している小学校は、学年によって授業態度にばらつきがありますが、ある高学年のクラスでは、30人のうち6人がつねに授業で立ち歩いて、進行を妨害しています。『座ろうよ!』と先生が肩に手を触れた瞬間、『あっ!ハラスメント!ハラスメント!教育委員会!教育委員会!』と子どもに言われてしまうのです。この言葉は、おそらく外部から情報を得ているからこそ発生しているものでしょう」

問題が起きるクラスがある一方、中山先生はクラス運営がうまくいく学校をどう分析しているのでしょうか。先生によると「授業のデザインがいいか悪いか」がカギになっているそうです。

「いい先生の授業は、集中できていない子のために授業の導入に力を入れています。たとえば、理科の授業で生物を教えるときに、生き物を教師が捕まえてきて『ちょっとこれ見て!』って実物を見せるだけで子どもたちは『エッ!なにそれ!』と食いつくんです。

一方で、悪い先生の授業は教科書どおりで一方通行の授業になってしまっています。このタイプは真面目な人が多い側面もあります。また、自分もこの方法でできたから、子どもたちだってできるだろうと考えてしまいがちです。服を選ぶときにその子の適性や好みにあった服があるはずなのに、無理やり大量販売されている服を着せようとしているのと同じです」

中山先生はクラス運営を立て直すために、荒れたクラスの様子を、その学校の校長先生に相談しました。校長先生は授業はもちろんのこと、保護者との関係づくりが上手で、地域でも名高い先生にそのクラスの運営を任せることにしました。

しかし、優秀な先生の授業をもってしても、そのクラスの運営はうまくいかず、子どもたちは先生の話に聞く耳を持ちません。

なぜ優秀な先生でもクラス運営がうまくいかない?

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