ノンスタ石田が考える「面白い漫才」の"絶対条件" 笑い飯、ヨネダ2000に共通する「ベタ」のセンス
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 18時0分
「ベタなこと」を「斬新な器」に入れて新しく見せる。その点でピカイチなのは笑い飯ですね。めちゃくちゃベタなんやけど、いつも設定が圧倒的に面白い。天才的やと思います。
笑い飯の何がすごいのか。ボケとツッコミが何度も交互に入れ替わる「Wボケ」というスタイルですけど、そこでポイントなのは、お互い相手に加担するツッコミはしないことです。
常に「俺のほうがおもろい」という戦いをしていて、相手のボケに対しては「そんなことあるかい、ちょっと変われ!」式に、めちゃめちゃシンプルに短くしか突っ込まないんです。
まさに相手のボケにシンプルに突っ込むという、漫才の基本に忠実です。こうした2人の関係性が守られているうえで、「変われ!」「変われ!」ってどんどん加速していくので、見ているほうはどんどん巻き込まれて、笑ってしまう。
面白さは、やっぱり「ベタか、ベタじゃないか」ではなく、「ベタなことをどう見せるか」、いかに「くだらないこと」を「くだらないという面白さ」に昇華させるかにかかってる。笑い飯のネタを見るたびに、そう思います。
「自分でもできそうなツッコミ」の大切さ
「ベタが最強」とはいいつつも、ベタなボケとツッコミを続けているだけでは、「爆発力」に欠けてしまいます。漫才の展開で重要なのは、笑いのボルテージを徐々に上げていくことです。
誰もが瞬時に理解できるレベル1のボケから始めて、レベル2、3、4と上げていく。僕はこれをよく「クイズ番組理論」と表現します。
クイズ番組って、「自分でも答えられそうな問題」が出ると面白いですよね。
全然わからない問題ばかりでは面白くない。かといって簡単すぎても、わかったときの満足度が低くて面白くない。「あ、この人が正解出したけど、私にもわかってた!」みたいな問題が出ていると面白いわけです。
漫才も同じです。特にネタの最初のほうのボケは、「何してんねん!」とか「なんでやねん!」とか「そんなわけあるかい!」とか、お客さんでもツッコミを思いつくくらいのものだと食いつきがいい。
それをいくつか続けておいてから、ふと変な間を作ったり、少しわかりづらいボケを差し込んだりする。それまで自分でも突っ込んでいたお客さんが、一瞬、迷子になって「ん?」となったところで、少しレベルの高いツッコミを鮮やかに決める。
すると、迷子状態が瞬時に解消されてドカンとウケる、という具合です。
これが漫才のクイズ番組理論。しばらくわかりやすいボケとツッコミを続けたうえで、一瞬「ん?(わからない)」と緊張させてから、「ああ(納得)」と緩和させるという意味では、「緊張と緩和」の展開と呼んでもいいかもしれません。
この記事に関連するニュース
-
銀シャリ・橋本直が細かく語るお笑い論「ツッコミって、怒りを鎮めるレクイエムです」
NEWSポストセブン / 2024年11月2日 7時15分
-
ノンスタ石田が明かす「漫才」と「コント」の"違い" 漫才じゃない元祖ジャルジャル、M-1で評価の訳
東洋経済オンライン / 2024年10月31日 15時0分
-
ノンスタ石田の「漫才か、漫才じゃないか」の答え やすきよ大師匠の掛け合いにみる「漫才の原点」
東洋経済オンライン / 2024年10月24日 14時0分
-
「小学生の方がオトナ」子どもから女性コンビへの“意識高め”アドバイスが「中高年より期待できる」
週刊女性PRIME / 2024年10月24日 10時0分
-
NON STYLE 石田明が「漫才論」「M-1論」を初めて語った書籍『答え合わせ』が10/31の発売前に重版が決定!
@Press / 2024年10月22日 11時0分
ランキング
-
150代になったら要注意「足を守る」正しい歩き方 人間の足は50年で「耐用年数」を過ぎるという
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 7時20分
-
2ただのペンだと思った?実は「6つの工具機能」を搭載したマルチツールなんです!
&GP / 2024年11月13日 6時30分
-
3死亡した人の預金、「口座凍結される前」に引き出しても大丈夫?【司法書士が回答】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月13日 12時0分
-
4凋落の維新は全国政党から撤退か…吉村府知事“新代表一択”でささやかれる「大阪引きこもり」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 9時26分
-
5ダニ媒介性脳炎は致死率が20%以上…アウトドア好きは知っておきたい
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 9時26分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください