1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ノンスタ石田が考える「面白い漫才」の"絶対条件" 笑い飯、ヨネダ2000に共通する「ベタ」のセンス

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 18時0分

笑い飯はこれも天才的にうまい。「最終的な笑いの爆発」への持って行き方が芸術的やなと思います。

音楽に音階があるように、お笑いにも「ベタの段階」みたいなものがあります。笑い飯は「ドレミファソラシド」と順番に音階を上げていくような感じで、レベル1から始めて、レベル2、レベル3……レベル8と、ボケのレベルを順繰りに上げていっているように見える。

最初にレベル8のボケをやったら、多くのお客さんはキョトンとするだけでしょう。でも笑い飯の場合は、すでにお客さんがレベル1、レベル2と徐々に“調教”されているから、最後、レベル8に到達したときに、面白さが最高潮に達する。その瞬間、お客さんの間で一種の達成感が生まれて、バコーンとウケるんです。

笑い飯の爆発力の秘密は、そこでしょう。

ベタを利用しつつ、尖った笑いを入れる

いくらベタが最強といっても、ずっとベタだと飽きられてしまいます。「飽きる」は「つまらない」と同義ですから、ベタを打ち続けるのは、得策ではありません。

ベタというものを熟知していて、ベタを利用しつつ、ちょうどいい加減で自分たちの尖った笑いを入れていく。これが絶妙にうまい漫才師がウケている。今はそういう流れになっていると思います。

逆にもったいないなと思うのは、ボケは半ばどうでもよくて、ツッコミの面白さばかりが期待されてしまうタイプの漫才師です。ボケの種明かしをする「共闘型」に多いですね。

共闘型だと、どうしても「ツッコミを見せるためにボケさせる」という方向に行ってしまい、「ボケが弱い」「ボケ自体が面白くない」というネタになりがちです。

実際に、僕が教えているNSC生、特にツッコミ側がネタを書いている子たちには、「ツッコミのためのネタにならへんように」とアドバイスすることが多いです。

いきなりわかりづらいボケを入れて、ツッコミに説明させる。もちろん、それでドカンとウケればいいんですが、「爆発」といえるほどウケないケースをよく見かけます。

ボケ単体でお客さんが笑えず、ツッコミを待つようになってしまい、笑いのポイントが半減してしまっているわけです。僕からすると、もっとベタをうまく利用したらいいのになと思ってしまいます。

ベタなボケとツッコミで笑いを

変に小難しいことをせずに、ベタなボケとツッコミで笑いを積み上げて、ポイントポイントで少しわかりづらいボケと説明ツッコミを入れたら、もっとウケるでしょう。

このやり方なら賞レースでももっと評価されるはずです。

思えば、かつての銀シャリも、それに近いものがありました。ツッコミの橋本(直)の突破力が強いから、ボケがツッコミの単なる前振り、いわば「ツッコミが面白いことを言うためだけのティーバッティング」みたいになりがちやったんです。

でも銀シャリは、どこかのタイミングで、ボケの鰻(和弘)の面白さとか橋本に噛みつく感じを、もっと出したほうがウケるって気づいたんやと思います。2016年にM-1チャンピオンになれたのは、その気づきの結果でしょう。

石田 明:お笑いコンビ「NON STYLE」のボケ、ネタ作り担当

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください