ユニクロ「柳井正氏に頼らない」仕組み化の中身 熱意だけでは従業員を変えることはできない
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 10時30分
なぜユニクロは世界的なアパレルブランドになれたのでしょうか? 「創業者の柳井正さんがすごいのでは」と思う人が多いでしょうが、実は特定の人に頼らない仕組みをつくって、事業を回せることが同社の最大の強みなのです。元ファーストリテイリング執行役員の宇佐美潤祐氏の新刊『ユニクロの仕組み化』から一部抜粋・再構成のうえ、その仕組みをご紹介します。
スタッフひとりひとりまで変える「究極の個店経営」
大きな成長を遂げようと思ったら、組織のメンバー全員に変わってもらうしかありません。ひとりひとりに変革の意識を持ってもらうしかないのです。
当然ですが、これは簡単ではありません。数十人の会社でも難しいはずです。それどころか、自分が所属している部署やチームの5人、10人を変えるのもハードルは低くありません。ですから、数千人、数万人、数十万人の組織になればなおさらです。
人を変えるには確かに熱意は重要です。ただ、大きな規模の組織になれば、メンバーひとりひとりに訴えかけて、個別に変わってもらおうとするのは現実的ではありません。
そもそも熱意は必要ですが、熱意だけでは人は変えられません。数十万人のメンバーを一気に変えられるのは、「仕組み」しかないのです。そして、ユニクロで世界中の店舗スタッフひとりひとりまで変える仕組みが、「究極の個店経営」です。
近年、小売業では、消費者のニーズが非常に多様化しています。同じ性別で同じ年代のお客さまが対象でも、地域ごと、店舗ごとに全く売れ筋が違うことも珍しくありません。
本社からの指示をただただ実行しているだけでは、ニーズを十分にとらえ切れないのです。メンバーひとりひとりが変革を意識する重要性は業態としても必要になっているわけです。
確かに、かつては違いました。店舗スタッフはそこまで考える必要はありませんでした。チェーンストアとして目標を掲げて号令をかけ、それを各地域、店舗で実行することで変革が起き、均質なオペレーションが生み出されていました。
このチェーンストア経営によりユニクロは順調に成長をとげていました。しかし、一方で、「これは本当にお客さまのためなのか」という議論がありました。
全世界で均質のサービスは不可欠ですが、東京に限定しても、都心の店舗と郊外の店舗で同じものが求められているのかと考えると、やはり違いました。都心と地方でしたらなおさらですね。生活スタイルも違えば気候も違うわけですから、当たり前です。
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