アップル、Mac刷新"メモリ倍増"が示す戦略的意志 「生成AI時代」に対応した製品ポートフォリオ
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 9時30分
iPhoneは急な連絡で最初に選ぶ可能性が高いデバイスなため、集まる情報は雑多なものになりやすく、多様な異なる経路での情報を集約して判別する必要が出てくる。例えば、メールで連絡をとっていた食事の約束をMessengerで変更するといったことはよくあるはずだ。それらを時系列に並べながら最新の情報を示すといった処理に、AIはとても向いている。
ただし、現時点で、そうしたデバイスごとの最適化が行われているわけではない。Apple Intelligenceは段階的にAI支援機能を提供していく予定で、Apple Intelligenceからベータの文字が取れ、基礎的な機能が定着したのちにデバイスごとの機能が磨かれることになるだろう。
今回のアップデートは、そうした将来を見据えてのMac製品全体の見直しが行われたものだ。推論エンジンの強化やCPUの機械学習処理能力向上、GPU処理能力の強化などはその一環だが、Apple IntelligenceはすべてのAppleシリコン搭載モデルが対応している。つまり、対応できないMacはAppleシリコン時代以降は存在しない。
しかし、今回あまり目立ってはいないが、大きな変更が施された。エントリークラスを含めてメインメモリを16Gバイト以上に揃えたことだ。デスクトップ一体型(iMac)、デスクトップ型エントリーモデル(Mac mini)、ノート型エントリーモデル(MacBook Air)はすべて16Gバイト以上に統一された。MacBook Airはハードウェアは全く変更されず、メモリ搭載量だけが2倍になって、価格は維持。実質上の値下げだ。
このようなベーシックグレードの底上げは、将来的なMacにおけるApple Intelligenceへの適応性向上にある。なぜなら、パーソナルコンピューターとスマートフォンでは、同じAIでも活用シナリオが異なると考えられるからだ。
ハードメーカーのAI対応の道を照らす
Apple IntelligenceはAppleが提供するすべてのデバイス向けOSに組み込まれ、ユーザーインターフェイスの改善だけではなく、個々の機能を改善してコンピューターの使い方を変えていくだろう。
それは個々の道具としての進化の範疇ではあるが、一方で、パーソナルコンピューターは常に机の上にあり、仕事や学習クリエイティブをサポートする道具として、スマートフォンとは異なる使い方をするものだ。
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