脳科学者が語る「誰もが"老害"になる」悲しき必然 自分もすでに「老害脳」化が始まっていたら…?
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 16時0分
人や組織、社会にまでさまざまな影響を及ぼすと言える「老害」ですが、脳科学の研究者としてお答えするなら、「老害」は誰にでも起きることです。決して特定の人だけに問題があるわけではなく、「よくあること」です。
「老害」をもたらすような人は、もともとそのような性格だったと考えられがちですが、実はそうではありません。脳の働きが原因なのです。先に述べた「老害」的な行動の数々は、多くの場合、脳機能の変化によって引き起こされていると考えられます。
私は「老害」的な特徴のある脳を「老害脳」と称しています。ただし、「老害脳」は医学的な専門用語ではないことも付け加えておきます。
「老害」が脳によって引き起こされている以上、「老害」は誰にでも起きる可能性があります。今は「老害」の被害者側の人であっても、加齢とともにやがては「老害脳」化し、加害者側にも十分なり得るのです。当然、加害者側と被害者側の両方に同時になり得る時期も存在します。
「そんな! あんな風にはなりたくない」「自分は大丈夫だろうか……」と思っている方もいるかもしれません。
たとえば、最近このようなことを感じることはありませんか?
・時々、部下たちが話している話題についていけなくなった
・他人の発言にイライラしてしまうことがある
・新しいことを始めるのがおっくうになってきた
こうした兆候がある場合、実はすでに「老害脳」化が始まっているかもしれません。
もしかして気づかないうちに自分の振る舞いが、昔「あんな風にはなりたくない」と思っていた「老害」の姿そのものになっているとしたら? よかれと思ってやったことが、実は相手から「老害」だと思われてしまっていたら?
もし仮に、自分の行動の99%に「老害」感がなくても、残りの1%で「老害」が感じられたら、それは相手に強烈な印象を残してしまうかもしれません。そうすると、他の全ての言動も、その言動をした自分自身までも「老害」と思われてしまうのでは?
実は、私自身は医師として、生まれたばかりの赤ちゃんから、ビジネスパーソン、さらには100歳を超えた超高齢者まで、どんな年齢層の人とも気さくに話せることを特技としてきました。
しかし、決して若い人に偉ぶらないように、十分気をつけているつもりでも、知らないうちに余計なことを口走り、嫌な思いをさせてしまっているかもしれない──。こう考え始めると、何とも悲しく、いたたまれない思いになってしまうのです。
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