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脳科学者が語る「誰もが"老害"になる」悲しき必然 自分もすでに「老害脳」化が始まっていたら…?

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 16時0分

「老害」には誰もが陥る可能性があります。年齢を重ねるうちに、知らず知らずのうちに脳の機能が変化し、なってしまうものなのです。

そう考えると、「老害」と呼ばれる人の中には、心から他人の役に立ちたいと思って行動している人もいるかもしれません。

若い人のために尽力したいと願っているのに、「老害」として忌み嫌われる存在になっている可能性があるなんて……。それがもし自分のことだったらと思うと、たまりません。

そんなことを考えてしまいます。

脳の仕組みを理解し、「老害脳」を克服すれば、社会全体が豊かになる
「老害」の被害に苦しんでいる人と、心から人の役に立ちたいと思っているのに「老害」と見なされてしまう人(もちろん、その両方の側面をもつ人もいるでしょう)の思いを、うまく汲み取って関係を調和できないものでしょうか?

超高齢化社会の日本で「老害」が増える背景

ただでさえ、日本は超高齢化社会です。年齢に関わりなく、働きたい人ができるだけいい仕事をし、他人の役に立ちながら、充実したいい人生を送れるかどうかは、日本全体の課題と言えるでしょう。

もしも「老害」という問題が、そうした理想を阻んでいるのであれば、また「老害」が、若い世代の活動を萎縮させ、中年以降の人々の脳の老化を加速させていくだけなのだとしたら、これはぜひ、脳科学者としてなんとかしなければならないと思うのです。

また、もしかすると「老害」とは、日本における年功序列的な文化が背景にある現象なのかもしれません。

日本社会では、年齢や肩書きを重んじる傾向が強いために、言っていることの正しさや議論の大切さよりも、集団の秩序を重視するあまり、遠慮や忖度、そして「出る杭を打つ」行為がまん延しかねません。ここに、「老害脳」を放置し、悪化させてしまう温床があるのかもしれません。

ただし、自分の「老害脳」化を過剰に恐れたり、一方的に他人の「老害脳」を批判したりすることはやめましょう。誰もがそのリスクを抱えているのですから。

それよりも、人が「老害」になってしまう脳の仕組みを理解し、より良いコミュニケーションと、知識や経験の共有が行われることで、みんなが協力し合い、社会が豊かになれる方法を見つけられればと思います。

【→次の記事】不覚にも組織で再生産される「老害」の"怖い"実態

加藤 俊徳:医学博士/「脳の学校」代表

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