失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖 危機感つのらす中韓勢、日本勢には好機か
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 7時40分
ここ数年、世界で急速に普及が進んだEV(電気自動車)。足元では欧米を中心にその勢いに陰りが見え始めている。さらに火災事故が相次いでいることで安全性に懸念が広がっている。
【写真】日本メーカーの車載電池。中韓勢に対し劣勢が続いてきたが巻き返しなるか
韓国では、8月1日に第3の都市・仁川(インチョン)広域市内のマンション地下駐車場でEVの火災事故が発生。煙を吸い込むなどして住民ら約20人が負傷し、100台以上の車両が燃えるなど損傷した。
火災の原因となったのはドイツ、メルセデス・ベンツの「EQE」。同モデルは寧徳時代新能源科技(CATL)と孚能科技(ファラシス・エナジー)といずれも中国メーカー製電池を採用しており、今回燃えたのはファラシス製電池を搭載したEVだったという。
韓国政府は2025年2月から実施する予定だったEV用電池の情報公開などを求める認証制度を、今年11月までに前倒しで実施することを決めるなど対応に追われている。韓国メディアによると、10月には韓国のEQEオーナー約20人がメルセデスの本社や韓国法人、販売会社を相手取った損害賠償請求訴訟を起こした。
安全性に課題残るリチウムイオン電池
ポルトガルのリスボンでも、8月に空港近くのレンタカー会社の駐車場で火災が発生。海外メディアは200台以上が全焼したこと、火元がテスラ車である可能性を報じている。英国ではロンドンのEVバスで火災が発生し、地元当局は中国BYD製電池を搭載したバス約2000台をリコールした。
9月2日にはドイツBMWがEV「ミニ・クーパーSE」について電池の不具合を理由にグローバルで約14万台リコールすると明らかにした。搭載していた電池はCATL製とみられ、電池の制御システムに問題があり、オーバーヒートによって火災につながる恐れもあるという。
現在、EV用電池として主に使われているリチウムイオン電池には、エネルギー密度が高く、航続距離を延ばしやすいというメリットがある。反面、過充電や過放電、大きな衝撃が加わった場合などに出火リスクが高いなど安全性に課題が残る。火災時に水をかけると化学反応を起こしてさらに火が強まる性質があることも対応を難しくさせている(大量の放水でなら消火可能)。
「EVの普及が進んだことが大きい」と指摘するのは、素材メーカーでリチウムイオン電池を専門とするベテラン研究者。「0.001%でトラブルが出るとして、1000台なら出なくても、10万台普及すれば1台、100万台なら10台でトラブルが起きる」。
この記事に関連するニュース
-
ホンダ初の全固体電池、搭載時に航続距離2倍 コスト25%低減
ロイター / 2024年11月21日 11時56分
-
EV大国の中国で「地下駐車場」安全基準強化の背景 韓国の火災がきっかけ、深圳市などが独自規制
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 17時0分
-
「使っていないのに突然発火」した例も…モバイルバッテリーの発火を防ぐために気を付けたい3つのこと
オールアバウト / 2024年10月31日 21時50分
-
【東芝】バンコクで電動バイクタクシーのドライバー向けバッテリーサブスクリプションサービスの実証実験を開始
Digital PR Platform / 2024年10月31日 13時57分
-
「中国車はあぶない」のイメージ覆せるか BYD、長澤まさみCM起用の効果は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月25日 5時10分
ランキング
-
1ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
2とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
3【GU】1290円の「冷たい風も防ぐ手袋」は、自転車に乗っていても手があったか! 水や汚れをはじく&スマホ操作もできる高機能グローブ
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月22日 8時35分
-
4【冬の乾燥対策に】ドラッグストアで手軽に買える! ハンドクリーム5選
マイナビニュース / 2024年11月21日 17時0分
-
5今さら聞けない50・60代からの「新NISA」のキホン 投資で効率よくお金を増やすための心強い制度
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください