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テレビが選挙報道をやめた結果「起きた大逆転」 玉木雄一郎氏は「YouTube」をどう使ったのか

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 7時30分

つまり、国民民主党が上手にYouTubeを使って若者層にアピールしたら自民党から票を奪って大躍進したのだ。議席数を7から28に伸ばしたおかげで、彼らの政策「手取りを増やす」を実現するべく与野党との間でキャスティングボートを握れた。

国民民主はYouTubeをどう使ったか。簡単にいうと都知事選挙での石丸伸二氏の手法をまねた。これは 党首・玉木雄一郎氏も認めていたと思う。

具体的には、街頭演説を政党チャンネルでライブ配信し、集まった支持者にも動画投稿を呼びかけた。これにより、累乗的にYouTube内で国民民主の動画が広がりその場にいなかった人々にも拡散された。

また玉木氏はショート動画も数多く投稿していたが、それだけで済まさずに長尺の動画につなげる工夫もした。ここが重要で、多くの政治家はショート動画を若者が見ると聞き、力を入れている。だが玉木氏はそれだけでは支持につながらない、意外に長尺動画を若い人たちが見てくれたと語っていた。

若者は短尺動画を見るが、長尺で政策を述べても見ないとの先入観が政党側にはある。玉木氏は若者の動画の見方を研究し、長尺で政策が届くと見抜いて力を注いだ。日々使いながらやり方を進化させた結果が登録者数の爆増をもたらした。もちろん、それが得票数も爆増させたのだ。玉木氏はネットマーケティングの優れた使い手になった。

ReHacQによる選挙区ごとの候補者討論会

YouTubeは今回の選挙で国民民主と若者層を結びつけたが、それだけではない。選挙のインフラとしてあちこちで使われた。都内に住む私にとってありがたかったのが、ReHacQによる選挙区ごとの候補者討論会だ。東京青年会議所のバックアップで、23区内だけだが全選挙区の討論会をライブ配信した。

今回の選挙では、選挙区の大きな変更があり、私が住む大田区は目黒区と合わせて東京26区になった。候補者は1人を除いて4人が新人。誰が誰だか、ポスター以上の情報がほとんどない。選挙公報は直前まで来ないし、NHKの政見放送は自分の選挙区をいつやるのかわからない。こんなことでは投票できない。

だがReHacQのおかげで4人の新人がどんな人物か、どんな考えを持つかがよくわかった。私の投票に一番役立ったのは、YouTubeだったのだ。

記事(総選挙を左右する?「テレビよりYouTube」戦略)でも書いたが、テレビ局は公示日を過ぎると途端に選挙報道を一斉に控える。さてこれからどの党に入れようか、自分の選挙区はどうなっているのか、テレビを見ていてもほとんど役に立たないのだ。都知事選と今回の衆議院選挙によって、もはや選挙のインフラはYouTubeになったと言っていい。私にとってもYouTubeのおかげで胸を張って投票できたし、結果を見てもYouTubeによって石丸伸二氏は2位になり、国民民主が大幅に議席を伸ばした。政治を動かすのはテレビではなくYouTubeになった。

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