「給料75%減。でも辞めない」20代女性の驚き理由 部下が会社と上司に抱く「切実ニーズ」4タイプ
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 8時40分
「部下によって、より強く抱いている欲求が異なる」ことを端的に示すエピソードがありますので、ご紹介しましょう。
ある不動産会社では、ベテラン営業マンが数多くいる中、20代の女性社員が常時TOP3に入る営業成績を残します。ところがその女性から退職の申し出がありました。
驚いた社長が理由を聞くと、給料は売上に比例する歩合制で、営業成績は社内に張り出され、周りの社員は自分がいくらもらっているかがわかる。それがやっかみとなっている。営業は楽しいが、人間関係がつらい。だから辞めたいとのこと。
「じゃ、給料はだいぶ下がるけど、一般職員と同じ固定給にして営業成績を貼り出すのをやめようか」と社長が言うと「いいんですか? だったら辞めません」と言われ、社長も「え?! 本当にいいの?」と唖然としたと言います。
彼女の営業成績だと、歩合給から固定給に変えると給料が4分の1ほどになってしまう。でもやっかみをもたれるよりは給料が4分の1になったほうがいいと言う。
それで固定給にしたところ、意欲的に営業に取り組んでくれているとのことです。
離職を防ぐための効果的なマネジメントのために
この話に驚かれる方も多いかと思いますが、彼女にとっては高い給料をもらうこと(生存欲求)より、人間関係のストレスなく働けること(関係欲求)のほうが重要なのです。
このエピソードは極端な事例ですが、これほど「会社に求めること」は人によって違います。「最近の若者はこうだろう」と決めつけることなく、目の前の部下1人ひとりを、しっかりと見る必要があるのです。
目の前の部下はどの欲求が強いのかを把握し、その欲求を優先的に満たす関わりを行うことで、より効果的な離職を防ぐためのマネジメントができます。
その際に上記の4つの欲求をベースに考えると、より明確に把握しやすくなります。
人手不足が深刻化するこれからの時代、離職防止は差し迫った課題です。
これを機に、部下の理解を深め、離職を防ぐための効果的なマネジメントを進めていただければと思います。
藤田 耕司:経営心理士、税理士、心理カウンセラー
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