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過去最多掲載「ミシュラン東京2025」を読み解く 「世界で最も星が多い」東京であり続ける理由

東洋経済オンライン / 2024年11月9日 9時10分

料理カテゴリーでいえば、イタリア料理の星つきレストランは5年前に12軒だったのが、2025年には8軒になってしまった。

フランス料理は5年で52軒から49軒へ。

注目度の高いラーメンは星つきが0軒になり、最も星のついた軒数が多いカテゴリーである日本料理も、5年前の63軒から56軒に減っている。

星が減ると、その店の料理の質が下がったのではと考えてしまいがちだが、個々の店の料理の質がこの2年で一斉に変化したとは考えにくい。

そのため、ある店の星がなくなったとしても、その店の味が急に落ちたとは言い切れないだろうし、星を現時点でも維持している店舗の価値が、相対的に高くなったということもできる。

ミシュランガイドのインターナショナル・ディレクター、グウェンダル・プレネック氏は2024年、CNNのインタビューに対して「ミシュランガイドの調査員は、否定的な評価は一切下さない」と語っている。

「我々は決して批判しないし、調査員は批評家ではない」

これはミシュランガイドの精神を表す重要な言葉だ。星の数は、お薦めの度合いが変わるだけ、という意図が読み取れる。

「世界で最も星が多い都市」という称号が東京につき続ける理由

セレクションが始まった2007年からずっと東京の定冠詞になっている「世界で最も星が多い都市」。東京が、世界で最も星が多い都市であるのはなぜなのだろうか。

最大の理由の一つは、レストランの絶対数の圧倒的な多さだろう。レストランの軒数を都市ごとにまとめた調査では、東京が13.7万軒と世界一だ。人口10万人当たりでも東京は994軒と世界一となっている(パリは11位、10万人当たり307軒)。

軒数の多さが、料理の質の高さや競争率の高さに繋がることは自明だ。客の側としてはありがたいことだが、東京のレストランはそれだけ多くの競争相手と日々向き合っているともいえる。

現代社会の動くスピードが速くなり、「世界のベストレストラン50」など、世界同一基準でレストランを選定するセレクションがほかにも存在するいま、ミシュランガイドは今後よりいっそう、都市ごとのあるべき軒数や基準を統一化していくのではないだろうか。今回のセレクションはそのあらわれと読むことができる。

ミシュランガイド東京のセレクションが初めて発表された2007年、三つ星は8軒、二つ星は25軒、一つ星は117軒が選ばれていた。

それから18年を経て、ミシュランガイド東京は、星付き店の軒数としてはほぼ同じに、そこにさらにビブグルマン110軒、セレクテッド227軒を加えて、さらに厚みのあるセレクションになったといえるだろう。

星野 うずら:レストランジャーナリスト

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