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脳科学で実証、潜在能力を引き出す"魔法の4文字" 仲間を肯定し、信頼関係を生むポジティブ言葉

東洋経済オンライン / 2024年11月9日 16時30分

また、聞く側も相手の言うことに興味を持って、肯定的に受け止めるようになります。これによって、お互いの潜在能力が本能のレベルから引き出されることになるのです。

なでしこジャパンは、ボールを持ったら仲間がいないところへ迷わず蹴る、という常識破りのパス回しを生み出して相手を翻弄しました。仲間のいないところにボールを蹴るというのは、恐怖を伴うことでしょう。

仮に相手にボールを取られたら、一気にピンチに陥るかもしれません。普通であれば、無難に仲間がいるところにボールを蹴りたいと思います。

しかし、誰もいないところに蹴れば、最初に駆けつけた人がボールをキープできます。それが味方の選手であれば、チャンスは拡大します。そして、人のいないところに蹴るというのはチームの仲間だけしか知らないので、チームメイトを信頼して無人のスペースにボールを蹴り出せば、日本の選手が真っ先に駆けつけることができる可能性が高いのです。

佐々木監督が考え出した世界一のパス回しと称賛されましたが、あれは「そうだね」で生まれた信頼関係がベースにあります。まさにチーム一丸になって潜在能力を発揮した結果が優勝をもたらしたのだと思います。

女子バレーボール日本代表の中田久美監督に「先生、どうやったらチームが強くなりますか?」と聞かれたときも、「『そうだね』という言葉を合言葉にしなさい」とアドバイスしました。それ以来、日本女子バレーチームはチームが一つになって強くなりました。

この「そうだね」という言葉は、のちに女子カーリングチームのロコ・ソラーレの選手が競技中に使って流行語になりました。

ロコ・ソラーレを指導するきっかけになったのは、吉田知那美選手からもらった手紙です。吉田選手が失敗を重ねて、みんなからだめ出しされたとき、私に手紙を送ってきたのです。

軽井沢合宿で初めて会ったときに、私は吉田選手に「『そうだね』と言ってからチームプレーしたらいいよ」という話をしました。そうしたら、ロコ・ソラーレはあっという間に強くなりました。

「そうだね」という言葉がメンバーの合い言葉になって、チームが一丸となり、平昌オリンピックの女子カーリングでは銅メダルを取りました。皆さんよくご存じのように、「そうだね」の北海道訛り「そだねー」は、2018年の新語・流行語大賞にも選ばれました。

このように「そうだね」は、チームの潜在能力を高める魔法の言葉なのです。これを日常会話に活かすなら、「面白そうだね」「楽しそうだね」とポジティブな言葉を使いながら話すとよいでしょう。

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