トランプに学ぶリーダーシップのアピール技術 アメリカ大統領選を制した言語スキルとは
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 15時0分
アメリカ大統領選挙は、拮抗するという予想を大きく裏切り、トランプ氏の圧勝で幕を閉じました。次の大統領としてふさわしいのはどちらか、アメリカ国民は彼らの一挙手一投足を見ていました。本稿では、『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』の内容を一部抜粋・加筆のうえ、リーダーシップのアピールという観点から、トランプ氏の勝因を解説します。
不満への共鳴で有権者の代弁者になったトランプ氏
投票日翌日、「勝利宣言」を行うために姿を見せたトランプ氏。彼が「Thank you very much」と第一声を上げたところで、会場は沸き起こった「USA! USA!」という大きなかけ声に包まれました。
この場面は、今回の大統領選におけるトランプ氏の伝え方が成功したことを象徴しています。ポイントは「一体感」。選挙期間中、彼は演説を使って聴衆との融和を強めることに成功していました。
例えば、最後の週末に開かれた集会で彼はこう問いかけます。
「4年前と比べてみなさんの暮らしはよくなったか?」。
集まった7000人の聴衆からは一斉に「NO!」と声が上がります。その声を頷きながらしっかりと受け止めた彼は、自分が再選されれば「インフレを終わらせる」、「この国に犯罪者が侵入するのを終わらせる」と約束をしたのです。
そして彼が立つ演台には、こんなキャッチフレーズが掲げられていました。
TRUMP WILL FIX IT(トランプが解決する)
アメリカでは、土地によって抱える問題や背景がまったく違います。それらの問題を自分なら解決できるということをよりアピールしたのです。
トランプ氏の問いかけと聴衆の答えの「かけあい」は、一人対大勢だからこそ息を合わせることで高揚感が高まります。まさに、一体感を作り出した成功事例です。
この手法は、もちろんハリス氏も取り入れています。例えば、「アメリカの約束を信じますか。そのために戦う覚悟はありますか。」と聴衆に問いかける姿が見られました。
しかし、国民の不満を代弁したトランプ氏の問いかけのほうが、より感情に訴え一体感を作りやすい呼びかけであったといえるでしょう。
同調効果を利用したタモリ氏の拍手締め
これは政治家だけが使う息の合わせ方ではありません。フジテレビ系で平日お昼に31年間生放送されていたバラエティー番組「笑っていいとも!」。司会のタモリ氏が観客に対して問いかけ、それに対して客席が声を合わせて「そうですね」と答えたり、観客から沸き起こった拍手をタモリ氏がパンパンパンパンと指揮をとるようなしぐさで締めたりといった姿を懐かしく思い出す方も多いことでしょう。
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