「巨額赤字」日野自動車、大底脱すも見えない進路 財務指標は悪化の一途、統合の行方も見えず
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 8時10分
巨額の赤字計上を大底にできるのか。
10月29日、商用車国内2位の日野自動車が発表した2025年3月期中間決算(4~9月)は最終損益が2195億円という巨額赤字となった(前期は7600万円の黒字)。
同時に通期の業績予想も修正した。従来未定としていた最終損益は2200億円の赤字となる見通しと発表した。これは日野として過去最大の赤字となる。
決算を受けて日野の株価は下落。翌10月30日は前日比62.5円安(13.3%下落)の406.1円で引け、足元は300円台後半で推移する。
合理的に見積もった特別損失を計上
巨額赤字の原因は、北米向けエンジンの認証問題に関連する和解費用などを特別損失に計上したことだ。
日野では2022年3月に日本市場向け車両用エンジンの認証試験で不正があったことが明らかになった。国内では不正の対象となったエンジンについて量産のために必要な型式指定を取り消される処分を受けた。
アメリカでも司法省や環境保護庁、カリフォルニア大気資源局(CARB)の調査を受けていた。また、アメリカ、カナダ、オーストラリアでトラックを購入者などから集団訴訟も起こされていた。
過去3年間で国内認証関連損失を1550億円、北米関連で650億円を特別損失として計上済みだ(前期のアメリカの集団訴訟の和解金346億円もこの中に含まれている)。ただ、アメリカ当局の調査は続いていたため、今期初時点では「(特別損失を)合理的に見積もることが困難」として最終損益の予想を出していなかった。
今回、アメリカ当局との和解費用を「ある程度、合理的に見積もることができた」として、カナダでの集団訴訟の和解金も含めて北米認証関連損失2300 億円を新たに計上したのだ。
巨額の最終損失にもかかわらず、オンライン決算説明会はネガティブな雰囲気だけではなかった。
実のところ、アメリカ当局とは最終合意には至っていない。オーストラリアの集団訴訟も残っており、追加損失を計上する可能性はある。それでも中野靖CFO(最高財務責任者)は「一連の認証関連の大きな峠はここで越えた」と安堵を示した。
赤字の受け止めについて問われた中野CFOは、「2300億円という金額は、弊社の規模からしてかなり大きな数字だ」と前置きした上で、「(損失額を)公表したことによって過去の負債損失を少しは清算できるので、これからは前向きにやっていけると考えている」と期待をにじませた。
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