「日本で魚が獲れない理由」を知った小学生の驚愕 よくある大人の反論「外国船・海水温上昇・クジラ」
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 11時0分
次のグラフは世界の海水温。世界で日本の海の周りだけ海水温が上昇しているわけではありません。また海水温上昇は100年で0.5度くらいです。5度とかではありません。海水温上昇は、皆さんの感覚よりはるかに幅は小さく、かつゆっくりです。温度の上昇スピードが少し早い北大西洋のほうが、日本が属する北太平洋より、資源状態は圧倒的に良好です。
次の図はミンククジラの推定資源量です。クジラの中でも数が多いミンククジラの数は、北太平洋より北大西洋のほうが10倍弱も多いです。しかしながら、クジラが多くても北太平洋より、北大西洋のほうが、サバ、ニシン、マダラ、クロマグロをはじめ資源量が多く、サイズが大きいのが現実です。
科学的根拠に基づく「数量管理」ができていない
次の表は、2022年と2012年と、2022年と2021年の生産量を比較したものです。日本で効果がある資源管理ができているのは、ホタテガイくらいで2割弱しかなく、他は大幅に減少しています。多くが週1日漁を休むといった科学的根拠に基づく「数量管理」を行っていない資源管理の結果です。
マイワシの生産量は10年前に比べて大きく増えていますが、周期があるためそう遠くないうちに減少に転じてしまいます。マイワシは大きな資源変動がある8年前後の寿命の魚です。0~1歳のマイワシを大量に獲ってしまえば「成長乱獲」が起きるだけでなく、価値が低いためほぼ食用ではなく、飼料などに使われる「フィッシュミール」に回っています。
イベントで子供たちが見学した釧路港では9割以上が丸のままフィッシュミールになっています。大きくなれば、鮮魚・缶詰・加工品などさまざまな用途に使えます。大きくなったマイワシから、可食部を取って、頭・骨・内臓などをフィッシュミールに回す。ノルウェーのニシン漁業で行われている例を基にした説明に子供たちは高い関心を示していました。
体験の重要性
日本の水産資源管理の実態に対して、「そんなわけない!」「ちゃんと考えられてとっているはずだ」「それは偏った意見だ」といった考えを持っている方は、少なくないと思います。こういった先入観は、北海道だけでなく全国に蔓延していることでしょう。この先入観こそが、日本の水産資源を回復させるにあたっての元凶であると思料します。
2023年の9月にノルウェー大使館からの招待で、ノルウェーを訪問する機会がありました。その際にノルウェーシーフードのアンバサダーに就任されたフレンチの三國清三シェフも同行されました。
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