「同志社蹴って地元で進学」彼が下した決断の背景 60年の人生に大きな影響を与えた浪人生活
東洋経済オンライン / 2024年11月10日 7時30分
「親父は酪農家の次男坊で、石川県から北海道へ屯田兵でやってきた家庭の苦労人でした。私は浪人時代に朝6時ごろに起きて、予備校に行って帰ってきて、23時まで勉強していたのですが、父親と同じくらい勉強(仕事)しているぞと思えたと同時に、こういうふうに稼いで育ててくれたんだと父親を尊敬し、感謝できるようになったのです。
父は『(同志社に)行きたいなら行かしてやる、家を売ってでもお金を出してやる』『4年間はお前の人生だが、卒業してからもお前の人生だぞ』と言ってくれました。ただ、私立で下宿代もかかるうえ、商学部の勉強には関心はないのに、ネームバリューだけで行くのは違うと思い、自宅から通える国立大の教育大に進んで、勉強をしようと思いました」
こうして波乱万丈の受験生活を終えて、1浪で北海道教育大学教育学部札幌分校の養護学校教員養成課程に進んだ山西さん。
教育大学を卒業後、アメリカの大学と大学院で延べ3年間留学をしました。
就職活動では三井不動産と講談社に内定を得るも辞退し、北海道内の公立高校・英語教諭になります。その後私立中高一貫校に異動し、生徒の東大理3や北大医学部合格を後押ししました。
さらに、国立高専(准教授)で在職中に、47歳で大阪大学大学院博士後期課程に入学、飛行機通学をしながら全科目「優」で、満期単位取得終了を迎えます。
そこから、国公立大学准教授・教授を経て、現在は秀明大学の教授として言語社会学や英語教育学、認知心理学を教えています。
浪人時代の勉強習慣が生きている
山西さんに浪人してよかったことを聞いたところ、「勉強というものに1年集中できたこと」、頑張れた理由については、「部屋に紙を貼っていたから」と答えてくれました。
「今で言うと、脳科学の考え方ですが『大学合格』という目標を書いた紙を貼ることによって、勉強のモチベーションを維持できていたのだと思います。ハノーバー大学に入ったとき、すべて英語の生活が始まって、1時間の合唱団の活動以外は毎日月から金まで勉強漬けだったのですが、浪人のときの勉強習慣が生きたのではないかと思います。
当時の教育大は小論文があったので、その対策として1年間に33本執筆していたおかげで今、物書きが得意になりましたし、大学教授になるために21年間で250近くの大学を受けて不採用になりましたが、高等教育機関の研究者にもなれました」
「いろんな苦労があったとしても、それは幸福の入り口になる」と語る山西さんは現在、「赤本」(教学社、2011- 2017)や「GENIUS英和大辞典」(大修館書店、 2000)など、単著・共著を含めて68冊の書籍に携わっています。
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