「夫に会えず寂しい」新妻が54歳夫にぞっこんの訳 人生モテ続けた元ホステスが選んだ"意外性"
東洋経済オンライン / 2024年11月10日 12時30分
「最初の頃、私は夫から嫌われていたと思います。見た目は派手だし、下っ端の分際で誰に対しても率直に意見を言うからです。でも、私の仕事ぶりを少しずつ評価してもらえるようになりました」
無口で社交的とは言えない武史さんと個人的に親しくなった場所は喫煙所だった。酒もタバコも好きな美幸さんは社内に飲み仲間が多く、「みんなで飲みに行きましょう」と武史さんを誘ったのだ。
「関西が初めてだという夫が一人ぼっちで寂しそうに見えたからです。私は接客業が長いので声をかけたりすることに抵抗がありません。でも、恋愛感情などはまったくありませんでした。夫は細くて小柄ですが、私は野球のキャッチャーみたいなガッチリ体型の男性が好みです」
武史さんのほうは違ったようだ。華やかな美人だけど仕事は「めちゃ真面目」で、それでいてオフのときは大いに飲んで楽しむ美幸さん。上司の上司である自分にも構えることなく接してくれる。意外性の連続にすっかりのぼせあがってしまった。
出会いから1年後、飲み会の帰りに2人になったときに武史さんは美幸さんに告白をした。僕と付き合ってください!という高校生並みの直球勝負である。美幸さんは心を動かされたと明かす。
「夫は今まで女性と付き合ったことがない人です。そんな真面目のカタマリに私が好かれるんだと感動してしまいました」
感動は晩婚さんのキーワードだと筆者は思う。人生経験を積み重ねると、自分の好みや生活スタイルが固まってくる。自分と相性の良い人も予想がついたりする。美幸さんの場合は、社交的で精力的な男性から好かれて、自分もそれが心地良いと思っていたのだろう。
そこに武史さんが現れた。仕事ができる年上男性という点では過去の恋人と共通しているが、女性経験のない「真面目のカタマリ」は未体験。そんな男性が勇気を振り絞って派手な自分に愛の告白をしてくれることに美幸さんは驚き、「これを無下にしたら女がすたる」という義侠心のようなものが生まれたのかもしれない。
「私の心の中には社長さんがいたので、最初ははぐらかしていたんです。でも、夫とさらに仲良くなり、社長さんとは自然と距離を置くようになりました」
その2年後である今年、幹部社員である武史さんは再び東京本社に呼び戻された。武史さんは「これからもずっと一緒にいてほしい」とプロポーズ。関西での生活を愛する美幸さんは「東京には行かへんよ」という条件付きで承諾した。
「45歳の私がこれから先の人生でプロポーズしてもらえるなんてことはないだろうなと思ったからです。夫は賢くて真面目な人なので、伴侶として間違いありません」
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