SNSをやめられない人が知らない不都合な真実 「進化」という巨視的な視点がなぜ必要なのか
東洋経済オンライン / 2024年11月12日 12時0分
友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来より人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。
メンバー同士が絆を深め、信頼し合い、帰属意識をもって協力し合う、創造的で生産性の高い組織を築くためには、このような人間の本能や行動様式にかんする科学的な知識が不可欠である。日本語版が2024年10月に刊行された『「組織と人数」の絶対法則』について、進化生物学者の長谷川眞理子氏に話を聞いた。(第1回はこちら、第2回はこちら)。
SNSアプリの普及率と自殺率
5人~15人くらいまでの人数なら、集まってこそこそと本音を言うことができますが、それ以上の人数になると、人は、ちょっと改まった姿勢で話をするようになるものです。
【写真で見る】5, 15, 50, 150・・・・・・ この数字に秘められた「すごい力」がわかる本
ところがSNSを使うと、そのような単なる「井戸端会議」だったようなことが、全世界に公表されてしまい、それによって炎上やいじめも起きてしまいます。
なぜこのような仕組みが広がるのかと言えば、それをやることでおカネの儲かる人がいるからです。
SNSなどのアプリは、人がその中毒になるように研究して作られています。与えるのが小さい子どもであればあるほど、一生中毒になってくれるものを設計するわけですね。
SNSが広がったのは、2012年以降です。そして、それ以後、若者のうつ病発症率や自殺率も上がっています。
オーストラリアでは、子どものSNS利用を禁止する法案を作ろうという話になっています。本当に悪いことが起こっているからです。
SNSによって子どものうつ病が増えているという現象は、タバコ会社との闘争の歴史と同じだとも言われます。
タバコ会社は、有害性を隠して、カウボーイなどのイメージを使ってタバコを売りつけ、男性に行き渡ると、次は女性に吸わせようとしていきました。
それに対抗する反タバコのキャンペーンは、非常に苦労した歴史があり、反SNSキャンペーンも、同じようなことになるだろうと言われています。
今では、タバコもずいぶん減り、変わっていきましたが、それを売ればおカネが儲かるということを、どう制御することができるのか。それはまだわかりません。
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