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北海道の「ペンギンベーカリー」東京出店の内幕 西武国分寺線「恋ヶ窪駅」の行列ができるパン屋

東洋経済オンライン / 2024年11月12日 10時0分

まず同チェーンのビジネスモデルは、冷凍した生地を各店舗に送り、店舗で焼き上げる方法。パン製造の中でも技術習得が難しい生地作りを本部で行うため、店舗の負担が抑えられる。同じスタイルのチェーンに2020年にオープンした「小麦の奴隷」があるが、ペンギンベーカリーでは2店舗目を出店した2017年から、この方法をとってきたそうだ。

2019年まで北海道内に店舗を広げ、なだらかに業績を成長させてきた高山氏がFCによる全国展開を決意したきっかけがコロナ禍だった。2019年比で既存店売り上げが109%に伸びたのだという。

「起業時、地方にチャンスがある、と考えた理由はコストの差。同じ値段で販売しても、都会は諸費用が高くつく。地方であれば、その分利益になる。コロナ禍でニーズを確認し、地域の食のインフラとして、展開を広げていけるという確信が持てた」(高山氏)

53店舗展開する現在の業績は、2025年3月期売上高29億9000万円、利益は3億5000万円を見込んでいるとのことだ。一番のこだわりは北海道産小麦。そして「おいしさと品質、素敵な接客、ワクワクする売り場づくり」の3本柱を営業方針にしている。

「お客の8割は女性。リピート率も高い。地域に密着し、信頼される接客が重要だ。毎月必ずスーパーバイザーが加盟店を訪問し、商品・サービス品質を確認している」(高山氏)

高山氏は起業前、ハウスクリーニングチェーンでFC事業本部の責任者だったとのこと。同じく女性客が中心で、家庭に入り込むところから、「信頼される接客」が第一だった。その経験がベーカリーチェーン運営にも生かされているという。

また毎月10品は新しい商品を並べ、売り場の新鮮味を保っている。開発は本部で行うが、専門の部隊があるわけでなく、パートタイマー含め従業員全員で検討しているそうだ。従業員の7割以上が女性のため、客目線でのアイデアが出るメリットもある。

ベーカリーにしては広い駐車場がある理由

さらに、成功のポイントが立地だという。新しく出店する際は人口や家賃相場、どれぐらいの規模の競合店がいくつあるかなど詳細な立地診断を行う。

「売り上げがよい加盟店は、ペンギン3本柱をしっかりやっているところ。近隣の人口が増えることはないから、客が急に増えて売り上げがよくなるということもない商売。安定して運営していけることが一番の秘訣だ」(高山氏)

今回、加盟店オーナーの話も聞くことができた。自動車販売店を展開しているオーナーで、自動車は今後大きな成長は見込めないことから、第2の事業としてベーカリーを始めたそう。客に毎日通ってもらえる地域密着型のビジネスのため、自動車販売にもメリットがあると考えている。将来的には、国分寺府中街道店隣接の空きスペースに自動車販売店を開く予定もあるそうだ。ベーカリーにしては広い駐車場があるのはそんなわけだったのだ。

ベーカリーのほうも、多店舗展開することで人材教育やスタッフのやりくり等、相乗効果を見込めるため、今後も増やしていく予定とのこと。

確かに、日常の食に関わる店舗は信頼できる存在であってほしい。また、なくなってしまうと困るので、安定した運営も重要だろう。

地に足のついた、堅実なビジネスがカギになりそうだ。

圓岡 志麻:フリーライター

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