108歳女性がずっと大切にしてきた「3つの心がけ」 誰とも争わなかったから平和な暮らしがある
東洋経済オンライン / 2024年11月12日 7時10分
「人生100年時代」というフレーズが現実味を帯びてきている。そのために何をしたらいいのか? 世界最高齢現役理容師、108歳の箱石シツイさんの生き方にそのヒントがある。ひるまず・うらやましがらず・あらそわずの「三ず」が合言葉だと。書籍『108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』より一部引用、再編集して紹介する。
母がくれた「三ず」のおかげで今の自分がある
母は、わたしが幼い頃から「人を恨まず・人を妬まず・人と争わず」と言って聞かせてくれました。口グセですね、いつも何かにつけて言っていましたよ。
【写真】箱石シツイさんが104歳の時には、東京五輪の聖火リレーのランナーにも選ばれ、息子さんと二人三脚で務めた。
だから尋常小学校に上がってから、友だちとけんかをしたことがありません。奉公に出ていたときも、理容の修業中も人と争ったことはありません。争わないから、人から恨まれたことはなかったですし、恨んだこともありません。恨みの種は争いから作られます。母の口グセが身に染みていたから、今のわたしがあるのだと思います。
「三ず」……母は本当にいい言葉をくれました。
何十年も前のことですけど、「理容 ハコイシ」から2キロほど離れたところに床屋さんがありましてね。そこの店主はわたしと同世代の女性でした。お客さんがそのお店を通り越してうちに来るのが気に入らなくて、いろいろとね、しつこく嫌がらせをされました。わたしはじっと耐えて、何も言わず何もしませんでした。
そうすると、やがてその方は埼玉に引っ越して、そこで病気になって亡くなったそうです。「人を妬んで、争いを仕掛けた結果」ではないかな、と思いました。わたしにだけでなく、何ごとにもそのような生き方をしていたんじゃないでしょうか。
「ひるまず・うらやましがらず・あらそわず」
ですから、わたしも息子が小学生になる頃から、2人の子どもに「三ず」を言い聞かせるようになりました。わたしの「三ず」は「ひるまず・うらやましがらず・あらそわず」。母のと少し違いますね。
「ひるまず」は、わたしの経験から「勇気を持つことが道を切り拓く」と思ったからです。右も左もわからない東京へとひとりで上京するのも、修業も、お店を替わるのも、結婚も、勇気を振りしぼって行動しました。子どもたちにも、何ごとにも勇気を持って、前向きに挑戦できる人になってほしかったんです。
「うらやましがらず」は、自分で努力して、自分だけができることを身につけてほしいという気持ちから。世の中にはいろいろな人がいますからね。いいものを持っている人、自分ができないことをやれる人……。いちいちうらやましがっていても卑屈になるだけで、何も始まりませんのでね。
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