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108歳女性がずっと大切にしてきた「3つの心がけ」 誰とも争わなかったから平和な暮らしがある

東洋経済オンライン / 2024年11月12日 7時10分

「あらそわず」は、友だちとけんかをしないでほしかったからです。うちは客商売の理髪店ですから、「お客さんあっての我が家」ですし、争ってわだかまりを残すことほど馬鹿馬鹿しいことはありません。今、わたしが平和に暮らしていられるのは、誰とも争わなかったからですし、仕掛けられてそれに乗ってしまえば、お互いが傷つくだけとなってしまいますしね。

とはいえ、言って聞かせるだけでは説得力がありませんから、わたし自身がそのように生きて、背中を見せなくてはなりません。そして「お母ちゃんのように生きていけばいいんだな」と、子どもにわかってもらうことが大事だと思っていました。

だから、言って聞かせるのもそれなりの覚悟がいりましたけれど、「ひるまず・うらやましがらず・あらそわず」は、107歳の今でもわたしが日頃から心がけていることです。老年の域に入っている娘も息子も、その言葉どおりに生きてくれていると思っています。

いい加減にならないこと、機嫌良くしていること

「いつお迎えが来てもいい」なんてお年寄りがよく言いますね……って、わたしもけっこうな年寄りですけれど(笑)。

たしかにそう思います。本心です。でもね、死ぬこととか寿命についてとか、あまり考えなくていいんじゃないかと思います。「死ぬ」「生きる」は神さま仏さまがお決めになることでね、こちらがいろいろ考えたところで、そのとおりになるものでもないので。ですから、「おまかせ」の心境ですね。

2023年に「世界最高齢の現役理容師」に認定されて、109歳までハサミを握りたいという目標ができましたから、なるべくならお迎えが来ないように、今はそのためにできることをやっています。

自分のことは自分でやる。

日々の暮らしの中で、これが一番のモットーです。

人に何かをして差し上げるのは、もう難しいですから、まずは自分自身を整えて、人さまにご迷惑をかけないようにしなくてはなりません。

しっかり食べて、歩いて、体操をして、よく眠れるようにしておく。

当たり前のことですけれど、一つ一つをきちんとやることが大事。ていねいに、いい加減にならないように。

それから、いつも機嫌良くしていたいと思っています。

家族ばかりでなく、わたしを心配してくださる親戚やご近所の方、ケアマネージャーさんやたくさんの方にお世話になって暮らしています。その方々とも楽しく仲良くしたいですから、まずはわたしがいつも機嫌良くして、笑顔で「ありがとうございます」「おかげさまで」が言えるようにしていたいのです。

こちらが笑えば、みなさんも笑顔で返してくださいますよ。

そんなたんたんとした行いと心持ちで過ごす毎日の先に、わたしだけでなく、誰しもおだやかな旅立ちがあったら。そのように、いつも静かな心境で考えています。

箱石 シツイ:理容師

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