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「草ぼうぼうの太陽光パネル」各地に出現の危うさ 太陽光発電設備の周辺の下草に引火した事例も

東洋経済オンライン / 2024年11月12日 20時0分

近所の人の話と資源エネルギー庁が公開している再生可能エネルギー発電施設の情報、不動産登記情報をつきあわせると、土地の所有者は埼玉県内の隣の市に住む個人で、発電事業者はその家族とみられる個人。発電出力は22kW、2014年に認定を得て翌2015年に運転を開始している。

近くに住む70代の女性は、「太陽光発電設備の持ち主がわからないんですよ。発電事業者や保守点検責任者を示す標識もありませんし。(太陽光パネルが置かれてから)しばらくは、周りの草も刈られていたんです。それからだいぶ経って今は、あんな状態。町会の役員をしていたときに、『防災防犯上困る』と市役所に言いましたが、全く取り合ってもらえませんでした」と不安そうに訴えた。

メガソーラー保守点検企業「2年前から草の伸びが激しく」

個人所有の小規模な太陽光発電設備と同様、1000kW以上のメガソーラーでも草木に覆われているケースがある。

埼玉県内の里山に設けられたメガソーラーは、山の正面から見ても、脇から見ても、草木に覆われていた。私自身、2021年4月と2023年6月にそれぞれ、このメガソーラーを撮影している。その時には、太陽光パネルの周りに草木は茂っていなかった。

このメガソーラーは、株式会社1社、合同会社2社の計3社の太陽光発電設備(出力はそれぞれ1980kW)が連なっており、2021 年3~4月に運転を開始した。保守点検、管理を行っているのは、1つの会社だ。

保守点検を行っている会社の雑草管理担当者は「2年くらい前から草木の発育がすごく激しくなっているんです。それまでは、草がひざ丈くらいまで伸びてきた段階で草刈りを手配すると、腰までの高さにいかないうちにきれいに刈り込みができたのですが……」と困惑した様子で話した。

この担当者によると、雑草管理には、①草刈りの業者が手配してから実際に来てくれるまで時間がかかる、②発電事業者の許可を得る必要がある――という2点の難しさがある。ここのメガソーラーの場合、発電事業者との契約で年1回は定期的に草刈りをし、あとは状況を見ながらオプションで追加という形で管理会社が発電事業者に提案し、草刈りを行ってきた。2024年は「6月に草刈りを行い、8月にまた草が伸びてきたのでやりましょうという話にはなっていた。発電事業者には要請済みです」という。

草ぼうぼうは発電事業者にとってデメリット

太陽光発電設備による悪影響に詳しい「比企の太陽光発電を考える会」の小山正人代表は「年に1回とか多くても3回くらいの草刈りでは雑草を抑えられません。太陽光発電施設の転売に伴う説明会などに行き、それを指摘すると、事業者は必ず、『雑草が伸びて太陽光パネルが日陰になり、発電効率が落ちると自分たちがソンをする。だからちゃんとやりますよ』と言うんです」と話し、基本的に手をかけたくない、という事業者側の姿勢に問題があると強調する。

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