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「先延ばし」をどうしてもやめられない人の頭の中 怠惰や無能ではない…内なる完璧主義が原因に

東洋経済オンライン / 2024年11月13日 18時0分

(写真:Graphs/PIXTA)

人間関係の些細なすれ違い、職場での小さなトラブル、子供の頃や学生時代の苦い思い出……「えっ、そんなことで?」と思うような出来事が、実はあなたの人生に重大な影響を与えているかもしれません。イギリスの心理学者メグ・アロールの著書『なぜか「なんとなく生きづらい」の正体』(野中香方子訳)は、近年、心理学や臨床心理の領域で注目され始めた“小さな心の傷”=「スモール・トラウマ」とその対処法に光を当て、世界40カ国以上で刊行される超話題書となっています。同書より、「スモール・トラウマ」による「完璧主義/先延ばし」の原因と対処法を、一部抜粋・編集の上ご紹介します。

「不適応的な完璧主義」対「適応的な完璧主義」

「不適応的な完璧主義」と「適応的な完璧主義」を区別することは有益です。なぜなら多くの人は、「自分の完璧主義は生涯を通じて、仕事を確保したり、パートナーを見つけたり、あるいは単に他の人に必要とされていると感じるために役立ってきた」と考えているからです。それらは適応的な完璧主義で、確かに人生において役に立ち、「適応」という目的を果たしています。

しかし、不適応的な完璧主義では、間違ったりしくじったりすることへの恐れが精神を緊張させ、しばしば先送りをもたらします。それは私が診療室で最もよく目にする問題の1つです。

このように完璧主義には2つのパターンがあるため、それを崩すのは難しく、人々は完璧主義にしがみつこうとします。完璧主義が自分の助けになったときを思い出す一方、完璧な結果を出すための苦しさを過小評価するのです。完璧主義とは基本的にミスは許されないという信念なので、完璧主義者はミスを避けるために多大な努力を払い、それが相当な負担になります。

加えて、内なる完璧主義が、ミスを犯す自分は無価値で、成功できず、愛される資格もないと感じさせるため、ミスを犯すことのリスクは確かに高いのです。このような理由から、多くの人にとって完璧主義は先延ばしの根本的な原因になっています。

先延ばしは怠惰や無能ではない

先延ばしについては、「~ではない」と表現した方がわかりやすいでしょう。先延ばしは、怠惰でも、 下手でも、無能でも、無関心でもない。むしろ、その逆です。先延ばしにする人は往々にしてかなり良心的で、ミスを恐れるから先延ばしにするのです。当人は自覚していないかもしれませんが、するべきことをしないで、食器を洗ったり、引き出しの整理をしたり、SNSをスクロールしたりするのは、自分はうまくやれないかもしれないという不安と、それが皆にばれてしまうのでは、という恐怖から目をそらすためです。

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