東武日光線「新鹿沼から板荷」に何があるのか? 「名物が渋滞中」の駅、ホームがやたらと広い駅
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 6時30分
「あとはゴルフ場。このへんはゴルフ場がたくさんありまして、特急でここまでゴルフバッグを担いでくる常連のお客さまもいらっしゃいます」(佐藤駅長)
鹿沼市内は東も西も山の裾。その斜面を利用して、起伏に富んだ魅力的なゴルフコースが設けられたのだろう。そして名物は、やはりシウマイか。
「ふつう、ラーメンと餃子じゃないですか。でも、ラーメンとシウマイというお店が結構あります。おいしいですよ。あとはニラが有名で、ニラそばとかも」(佐藤駅長)
そういえば、近所のスーパーで「鹿沼のニラ」を見たことがあるような。新鹿沼駅の周辺は市街地だが、少し離れれば田園地帯。ニラ、そして栃木最大の特産品・イチゴなどの畑が広がっているのだ。
東側に設けられた新鹿沼駅の駅舎から外へ。まず目に留まるのは、巨大なイチゴ。ちょっと不気味なくらいにドデカく、それでいてリアルなイチゴ。駅名看板も駅舎の外観もイチゴがあしらわれ、イチゴ王国・栃木を嫌というほどにアピールしてくれる。
鹿沼名物が渋滞中
ただ、新鹿沼駅にあるのはそれだけではない。駅前ロータリーの真ん中には岡本太郎が手がけたオブジェ「夢の樹」が鎮座する。振り返って駅舎のほうを見ると、シウマイの自動販売機、傍らには松尾芭蕉の像……。
もうとにかく、あれこれ名物が渋滞中。鹿沼の人たち、よそからやってくる人に訴えたいことがずいぶんたくさんあるのかしらん。少なくとも、イチゴもシウマイも、それぞれ追いかけていけばかなり楽しめそうな鹿沼の町である。
佐藤駅長が管理している駅は、東武日光線の合戦場駅から新鹿沼駅を間に挟んで板荷(いたが)駅まで。今回は、新鹿沼駅から北の3駅にやってきた。お隣は、北鹿沼駅だ。
駅前のスペースが広い
1時間に1本の普通電車は鹿沼の市街地を抜けて、田園地帯に佇む北鹿沼駅へ。駅の西側はもう山が迫り、山肌にはお寺や神社。少し離れたところにはゴルフ場も広がる。駅周辺のスペースが広いのは、この駅でもかつて貨物を取り扱っていたからだ。
日光東照宮の木工職人が拠点を置いたことからもわかるように、鹿沼は建具の生産で名高い。足尾山地から切り出された木材の輸送拠点で、製材業・木工業が古くから発展したという。東武もかつてはこのあたりの山で切り出された木材の輸送をしていたのだろうか。
佐藤駅長が預かる北の端、板荷駅にやってくると、シウマイならぬ「林業の町」の色がますます濃くなってくる。線路の両脇の山々はさらに近くに迫ってきて、駅前にはたくさんの丸太が積み上げられた会社がある。ここまで来れば、電車はずっと上り勾配。心なしか、東京都心よりも気温が低く感じられる。
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