「虫混入報告」チロルチョコとシャトレーゼの明暗 企業ブランドを守るために企業ができること
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 9時40分
謝罪の言葉とともに、「投稿のお写真は毎年発売の季節商品と思われますが今年は2週間後の発売のため、昨年以前に発売された商品と推察されます」と分析。最近購入したものではないことと、保存の問題があった可能性を示唆しました。
チロルは翌日の5日に「昨日のX上でチロルの中に虫がいたという投稿に関して、投稿主のご家族様とご本人様からお詫びのご連絡をいただきました」と投稿。「最近購入したという事実は誤認であること、ご自宅での保管状況がよくなかったことが確認とれました」などとしました。
その後は「ご家族とご本人様からお詫びのご連絡をいただいておりますので投稿主様へのコメントやお問合せはお控え頂けますと幸いです」と投稿者への気遣いも見せました。
チロルの場合は企業の問い合わせ窓口ではなく、公開されたX上での投稿への対応だったとはいえ、その初動対応と公表のスピードには目を見張るものがあります。3連休中だったこともあり、投稿の発見から対応、公式見解のXへの投稿は大変だったと思います。チロルに問い合わせたところ、残念ながら「大変心苦しいのですが、取材については辞退させていただいております」との回答でした。
シャトレーゼの対応の3つの失敗
一方のシャトレーゼの問題は、苦情への初動対応の遅さと不透明さにありました。消費者から連絡を受けて、「2週間の調査期間を設ける」と伝えたところまでは悪くありません。しかし、その後の対応に失敗しました。
失敗の主な内容は①2週間経っても連絡をしなかったこと②消費者が再度問い合わせたにもかかわらず、「責任者に連絡が取れないといって対応しようとしなかった」とされたこと③マスコミが報道するまで結果として連絡が取れなかったことから、「報道されると一転して内容を公表し、お詫びをした」と取られたこと――です。
①は消費者から「約束を守らない企業」だとみなされるリスクがあります。②については「消費者を大切にせず、どんな状況かも教えない企業」、③は「問い合わせをした人の影響力があるかないかで対応を変え、情報を迅速に公開しない不透明な企業」だと思われる可能性があります。
シャトレーゼは、もともと手頃な価格帯で美味しい商品を出すことで評価、信頼されてきた老舗洋菓子チェーンです。この件1つで企業全体が判断されることはないと思いますが、今回の対応はいずれも企業イメージやブランド、信頼を大きく損ねるリスクがあります。
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