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「半年で辞めてしまった仕事」も無意味ではない 大切なのは「過去」をきちんと意味づけすること

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 15時0分

私が行っているキャリア相談では、まずその人にとっての過去の意味づけを変えていきます。つまり過去の価値化です。

有名なマーケターである株式会社刀の森岡毅さんは、破綻した兵庫県の年金保養施設を再建する際に、「ないものはない」と語っています。

山林や温泉以外に何も目玉がないようなロケーションだったのですが、ないものはどうやってもないわけです。ただ、裏を返せば「大自然がある」のだと捉えて、価値化に成功しました。

言葉遊びのように思えるかもしれませんが、意味づけを変えることはできるのですから、まずはそこからやってみましょう。

営業だけやってきたキャリアが"ある"

自分なりにやってきた実績が"ある"

小さな会社に勤めた経験が"ある"

私もそうして、過去を意味づけしてきました。

就職氷河期で就活がうまくいかなかった経験がある。何の実績も出せずにクビ同然になったこともある。職を転々とした経験がある。当時はすごく落ち込みましたし自信もなくしましたが、そんな過去があるからこそ、キャリアに悩む人たちと同じ目線でいられるように思います。

あれもない、これもない、ではなくて、"ある"と意味づけを変えてみてください。そして"ある"ものを、誰との関係性の中で活かすかで、価値は変わるのです。

キャリアは永遠に未完成な「β版」

キャリアというと、どうしても履歴書に書ける結果だと思い込んでしまいがちですが、実際は履歴書はプロセスシートです。私はキャリアは「永遠のβ版」だと表現しています。つまり永久に未完成のものということです。

たとえば、かつての転職市場では、短い期間で転職をくり返した経歴はマイナスと捉えられていました。「こらえ性がない」とか「協調性がない」といった評価につながってしまう恐れがあったのですね。

しかし、裏を返せば、数々の転職経歴は、自分に合う仕事環境を見つけるために必要なプロセスです。1回、2回で見つかる人もいれば、5回でも6回でも経験してやっと見つけられる人もいます。1社に長く勤めた経験が"ない"とするのか、いくつもの職場で働いてきた経験が"ある"とするのか。捉え方によって意味づけは大きく変わります。

確かに半年や数カ月おきに職を転々としている人がいたら、「何か問題がありそう」と思われる面はあるでしょう。客観的には、そう邪推されても仕方がありません。履歴書からは転職の意味は読み取れないのですから。

でも「半年で辞めるのがよかった」のか「最低でも3年は続けるべきだった」のか、なんていうことに正解はありません。自分に合わない職場を半年で見切ってよかったと思うのも自由ですし、3年は続けたことでさらに学べたと思うのも自由です。自分で意味をつけていくしかないのです。ただ、どう意味づけるにしても、無駄だったということにだけはなりません。

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