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ヨーグレットの製菓会社「明治から独立」での変化 丸紅グループにとって菓子製造進出の第1号案件

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 8時50分

だが、丸紅の子会社として独立したからには、自分たちの手で全国のスーパーやコンビニエンスストアに届けなければならない。それは青天の霹靂とも言える変化だった。

ただ幸いだったのは、認知度の高いヨーグレットとハイレモンについて、多くの小売会社が販売を継続してくれたことだ。「明治様の下で40年以上、ブランドが育てられていたおかげです」と、丸紅から出向し、新たに社長に就任した山下奉丈さんは感謝を述べる。

しかし、グミのような新商品に関しては、営業して棚を取っていかなければならない。そこで同社は、新規採用を含め営業人員を強化。スーパー、コンビニ、ドラッグストアを中心に、全国に広くターゲットを設定して営業を開始したという。

その甲斐あって現在、採用店舗は着実に増えている。とはいえタブレットと比べると、取扱店舗数はまだ5~10分の1程度だ。しかし、グミ市場全体が拡大傾向にある今、それに伴って棚面積も拡大傾向にあるため、新規参入のチャンスは大きくなっているそうだ。

たしかに、筆者の近所のコンビニを覗いても、グミの種類は20~30は確実にある。しかしそれは、ライバルが多い状態とも言えるのではないか。

アトリオン製菓の生産企画部長 高宮隆一さんは、「熾烈な競争の中で生き残れるのは、お客様から真に支持され、何度も食べたくなる商品だと思っています。そうなれるよう、こだわって商品づくりをしている自信はあります」と強い口調で語る。

現場は「好機」と受け止め、一体なぜ?

想像するだけでも大変な状況だが、社内には、好機と捉えている人も多いそうだ。

これまで、秘めたるアイデアや企画を持っていて、「いつか自分たちで製品や企業のブランディングをやっていきたい」と考えていた人たちだ。

これまでは、明治グループの1社として、方針や計画、目標値が定められ、それを達成する努力をすることが業務の主題だった。もちろん、そういった業務にも誇りを持って取り組んでいたが、「ものづくり」「お菓子づくり」を志して入社した社員、特に技術開発メンバーにとっては、今回のM&Aは、「やりたかったことを、自分たちの手でできるようになる」チャンスとなったのだ。

営業も、これまで明治産業のオリジナルとして売りにいく商品はごくわずかだったところを、社内から次々と新しい商品アイデアが生まれる環境になって、やりがいが高まっているそうだ。

そんなわけで、彼らのやる気にかなり火が付いている状態だそうだが、新商品開発の難易度はもちろん高い。手痛い失敗をしないよう見守り、コントロールしていくのも、自分の大切な役目だと高宮さんは考えている。

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