現代人がこれほどボードゲームに熱中する深い訳 ゲームマーケット開催直前、改めて魅力に迫る
東洋経済オンライン / 2024年11月15日 15時0分
ここ数年、様々な場で、ボードゲームを目にすることが増えてきているのではないでしょうか。学校で、友だちの家で、時には企業の研修などでも使われることも増えています。2015年頃から出店数が増えてきたボードゲームカフェは、いまや学生の遊び場所の1つとして定着していると言えるでしょう。
1996年からボードゲーム情報を掲載するブログTGiW(Table Games in the World)を更新している(2009年からは毎日更新)、ボードゲームジャーナリスト・小野卓也さんと、自身が鬱から回復する中でボードゲームを楽しむようになり、社会におけるボードゲームの価値について深く考えるようになった評論家・與那覇潤さんが、ブームの深層を読み解きます。
書籍『ボードゲームで社会が変わる』からの抜粋記事です。
與那覇 ボードゲームについて「どこがそんなにいいの。デジタルじゃダメなの?」と聞かれた際、ぼくは「自然に『メタゲーム』が生まれる点がいい」と答えます。対面でテーブルを囲んでプレイすると、自分がそのゲームで勝ちたいと思うのと同時に、「同席しているみんなにも、自分と同じくらい楽しんでほしい」というミッション意識が湧きますよね。これが、プレイするボードゲーム自体よりもひとまわり大きい「メタゲーム」ではないかと思うのです。
これはコロナ禍で一時的に流行した「Zoom飲み会」が結局、対面での飲み会ほど定着しなかった理由とも似ています。パソコンの前で缶ビールを開ける形の飲み会には、確かに遠隔地の人とも楽しめる利点がありました。しかしコロナが終わった後も習慣として続けている人は、ほぼ見ません。
小野 まさにこの対談自体、一部は山形と東京をつなぐZoomで収録していますが、メインパートは「ゲームマーケット」のために私が上京する機会を活かして、対面形式で行っています。やはり「同じ場所」を共有しない形でのコミュニケーションには、無理があるんですよ。
「目的がない」のは楽しい
與那覇 遠隔でのオンラインゲームの対戦だと、互いに顔が見えないから「相手は楽しめているのかな?」とは想像せず、自分が勝つことだけに集中しがちです。しかしテーブルを囲んでボードゲームをしている際に、隣の人はどうもルールが吞み込めてないとわかった時、「よし。こいつの理解不足につけ込んで、俺が圧勝しよう!」とは普通思わない。
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