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徹底解説!トランプ政権下で「為替」はどう動くか 日本にとって一番の懸念は「自動車への追加関税」

東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時0分

トランプ氏は円安と日本の対米貿易黒字が許せないわけです。前回の4年間もさんざんそれに文句を言い続けて、今回も選挙期間中に円安は「アメリカにとって大惨事(a total disaster)」と発言した。これは今後そうとう話題になる発言になるだろうと思います。

ただ、冒頭にお話ししたとおり、そもそも円安になっている原因の1つがトランプ氏のポリシーミックスにあるわけです。

なかなか円安が修正されず、対米黒字が大きいままではけしからんと思ったトランプ氏が何を考えるか。おそらく追加関税です。とくに日本の対米貿易黒字の大宗を占めているのは自動車ですから、自動車に対する追加関税をちらつかせながら、いろいろなディールを求めてくるというのが、日本にとって一番の懸念事項になると思います。

(前回のトランプ政権時に日本の首相だった)安倍氏のときにもそういう交渉をしようとしましたよね。

ただ日本の自動車会社をはじめとして、製造業は相当アメリカに投資をしているという実績がある。安倍氏は実際にそれを主張していましたが、石破政権下でもきちんと主張すべきポイントだと思います。

日本企業は海外での利益を現地に再投資している

――自動車産業をはじめとした日本の輸出産業は、非常に気を使う4年になりますね。

丁寧な説明が求められるのと、説明してわかる相手かどうかは別の話なんですけれども、結局、日本の経常収支の黒字のほとんどは第1次所得収支(対外金融債権・債務からの利子・配当金などの収支)です。これは過去の投資の蓄積から生まれている黒字ですよね。

近年話題になっていますが、海外で稼いだ日本企業の利益はそのまま海外に再投資されているケースが多い。日本の対米黒字の多くはアメリカに再投資されていることを丁寧に説明する4年間になるでしょうね。このネタが4年も持つかはわからないですけれども、必ずその局面はやってくるでしょう。

――日本企業の海外直接投資がこれまでも多かったということは、翻って国内の設備投資は相対的に弱かったわけですよね。そうすると、トランプ氏の4年というのは、日本経済にとって追い風なのか逆風なのか、どちらでしょうか。

難しいところですけれども、基本的にトランプ氏の目指しているところは国際協調ではないです。アメリカがよければいい、と。

ただ、ヨーロッパもけっこうそういう雰囲気になってきているので、日米欧3極において、自分の国がよければいい、自分の国にいかに投資をしてもらうのかを戦略上いちばん大事な論点に置いているのは別に珍しいことではない。むしろ、そういう状況にもかかわらず自由貿易が大事なんだと言い続けるスタンスのほうがナイーブなんです。

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