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たかがニキビで「救急搬送」女子大生を襲った悲劇 抗菌薬で生じた"アナフィラキシー"の顛末とは

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 12時0分

■総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解

総合診療かかりつけ医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「薬によるアナフィラキシーを起こす人はときどきいます。早苗さんのケースと同様、抗菌薬によるものが多いです」とのこと。

抗菌薬にはいくつか種類があるが、その中でもとくに「セフェム系」「ペニシリン系」で起こりやすいことがわかっているという(参考までに、早苗さんが今回服用した『ミノサイクリン』は、テトラサイクリン系抗菌薬の仲間)。

アレルギー体質の人は要注意

アナフィラキシーは、特定の物質に対して免疫が過剰に働くことで起こる。そのスタートは原因物質(アレルゲン)が体内に入り、それに対する免疫が構築される「感作(かんさ)」だ。感作が成立したあと、次に原因物質が体内に入るとアレルギー反応が引き起こされる。

「このため、初回の服用でアレルギー反応が起こることはなく、出る場合は2回目ということが多いのです」(菊池医師)

また、過去に薬によるアレルギーを起こした人は、別の薬でも起こりやすいので注意が必要だ。花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている人も、薬によるアレルギーが起こりやすい可能性があると菊池医師は感じている。

ちなみに、早苗さんが7年前に感染したEBウイルスに使われることが多いペニシリン系の抗菌薬も、前述したようにアレルギーが出やすいことが知られている。早苗さんが高校1年のときに経験したじんましんも、おそらく、このケースだと考えられるそうだ。

市販薬も含め、薬の種類は多岐にわたり、誰もが何かの薬でアナフィラキシーを起こすことはあり得る。しかし、予期することは難しいため、まずは症状が出たときの対処法を知っておくことが大切だ。

万が一、症状が起こったら?

菊池医師によれば、薬によるアレルギーは服用後、30分~1時間以内に出ることがほとんどだが、なかには2~3日後に出る人もいる。

軽度のじんましんや、唇の腫れ程度の場合は受診先の医療機関にすぐに電話をして、指示を仰ぐ。場合によっては受診を指示されることもある。

調剤薬局に相談をする人が多いが、症状が出ている場合、薬剤師では患者さんに指示ができないので、医療機関が相談先として適切だという。そして、早苗さんのように苦しさや気持ち悪さが出ている場合は、血圧低下で重症のサインなので、救急車を呼ぶのが正解だ。

「再発防止策としては、お薬手帳にどの薬にアレルギーが出るかを明記し、受診の際は伝えること。なお、お酒と一緒に薬を飲むと症状が出やすいので禁忌です」と菊池医師。

また、診療科にかかわらず、さまざまな病気を診てくれる、かかりつけ医が身近にいるとなおよい。

「薬にアレルギーのある患者さんにはどの医師も、処方に慎重になります。初めての患者さんに対してはなおさらそうですから、かかりつけ医がいいのです」(菊池医師)

なお、菊池医師が最近、よく遭遇するのが、サプリメントなどの健康食品が原因と思われるアレルギー症状の患者だ。高齢患者に多いという。

「『友達にすすめられて飲み始めた』という人が多いのですが、とくに持病がある人はトラブルが起こりやすい。服用前にかかりつけ医に相談をするのがベストです」(菊池医師)

サプリはもちろん、薬にはメリット、デメリットがある。そのことを理解の上、服用することを肝に銘じたい。

菊池 大和:きくち総合診療クリニック

狩生 聖子:医療ライター

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