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仏教に学ぶ「家族との距離感」を整理する心得3つ 年齢を重ねれば当然、関係性も変わってくる

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 18時0分

葬儀の現場にいる坊主として、仲のよい夫婦ほど、どちらかが亡くなったときの喪失感が早く解消することを実感しています。今の夫婦関係を少し変化させつつ、相手をおもんばかった、仲のよい夫婦でいたいものですね。

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心の垣根のもっとも内側にいる人は、誰ですか?

仏教で説く仏さまには、心の垣根がありません。誰に対しても分けへだてのない「絶対平等」の地にいるからです。しかし、人間関係の中で生きている私たちがその境地に至るのは、簡単ではありません。人は幾重にも、心に垣根をはっているものなのです。

もっとも内側の垣根の中にいるのは、ケンカをしても、翌日には何もなかったようにふるまえる人たちです。親きょうだい、親友などがここに入るでしょう。その外側には、気の合う友人や親戚、同僚や近所の人が入るでしょう。Aさんには何かしてあげるけど、Bさんにはしないということなら、あなたの心の中で、AさんをBさんより内側の垣根の中に入れているということです。

私は中学生の頃、「友達は財産です。ですから貪欲にためこもうとすることをお許しいただきたいのです」という言葉に出合って感動しました(出典は不明ですが、小説か戯曲のセリフでしょう)。お金などの財産がない思春期の若者にとって、友達は財産であり、増やしていいというメッセージはとても新鮮で魅力的に響いたのです。

大人でも「私は友達が多いほうです」と少々得意げに言う人は少なくありません。「友達の友達は、友達」という言葉もありますが、冷静に考えれば"友達の友達はただの他人"です。それでも、「私の友達の友達が……」とつい自慢してしまいたくなるのは、友達の多さを人間的な魅力の基準のように考えているからではないでしょうか。

しかし、広く垣根をはるような広範囲な人間的つながりは、ときに負担になることもあります。人脈を仕事などで活かせる現役世代ならいざ知らず、仕事も引退して人生後半に入ったら、心の垣根別に、一度友達をふるいにかけてみてもいいでしょう。

垣根のもっとも内側に残すのは、一緒にいると落ちつけたり、楽しい気持ちになれたりする人です。人生も折り返し地点を過ぎると、垣根のより内側にいる人の存在が、中身の濃い人生を送るために欠かせなくなってくるからです。

ただし、相手にも相手の「心の垣根」があることはお忘れなく。ふるいにかけて残った人に対して、友情の押し売りになっていないかどうかだけは、注意を払ったほうがよさそうです。

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