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仏教に学ぶ「家族との距離感」を整理する心得3つ 年齢を重ねれば当然、関係性も変わってくる

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 18時0分

いくつになっても心配が尽きないすべての親へ

親離れ、子離れは、いつの時代でも言われる大切なことです。これができないと、親子という粘着性の高い依存関係が続き、ともに自立できないからです。

生まれたばかりの子どもは、親の庇護がないと生きていけません。そのために、親は我が身を顧みずに子どもを守り、養います。

父母への恩徳を説いたお経『父母恩重経(ぶもおんじゅうきょう)』には、「親は自分が飢えているときでさえ、自分はまずいものを食べ、うまいものは子に与える。乾いた快適な場所に子を寝かせ、自分は湿った不快なところにいる。誠実な心を持っていなければ親ではないし、親でなければ子を養育しない」と、身につまされるような描写があります(一部、母を親に変えてご紹介しています)。

これだけ愛情を注いだ我が子がかわいいのは当たり前です。そのため、いつまでも守ってあげたいと思い、間違った方向に行かないように導いてあげたくなります。

しかし、これが子育てじまいできない理由ですし、世に言う"いちいちうるさい親"が誕生する原因でもあります。

子の自立を妨げてしまう「転ばぬ先の杖」

親子の年齢差はいつまでたっても変わりません。子どもはいつでも、親が生きた年齢を数十年後に生きていくことになります。親はそれまでの人生経験から、多くの成功例を体験し、数々の失敗から学んでいます。それをふまえて、人生後半の年齢まで生きてくることができたのです。

その経験から人は、「こういうときはこうしたほうがいい」「こんな場合はこうしないほうがいい」という、その人なりの正攻法(少なくとも間違いのない対処法)を身に付けます。

そして困ったことに、自分の正攻法がある人は、違ったやり方をする人がいると、「いや、そのやり方ではなくて」と、つい自分の正攻法を"転ばぬ先の杖"として伝えたくなってしまいます。子離れができない親には、こうした傾向が強いようです。

しかし、自分の方法だけが正しいわけではありません。他に成功する道はいくらでもありますし、子どもは自分でそれを見つけたいのです。

結果的に同じやり方にたどり着いたとしても、親が自分の正攻法を自らの経験でつかんだように、子どもにも、自らの経験を通してたどり着くその過程を尊重してあげましょう。

親を頼りにして自立できない子どもは、順当に親が亡くなったとき、途方にくれてしまいます。いつでも親が助けてくれたことが仇となり、悲しみからなかなか立ち直れず、自立するのを妨げることが少なくありません。

頼りにしてくれる子どもがいる、そして、頼りにできる親がいるのは、とてもすてきなことです。問題なのは、親離れができない、子離れができないという共依存、あるいは"強依存"です。互いが自立し、自由になれるように、強依存のつながりを徐々にほぐしていきたいものです。

名取 芳彦:元結不動 密蔵院住職、作家

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