「子ども食堂行くな」の言葉に隠された母親の本意【再配信】 「貧困対策」というラベリングが親子を遠ざける
東洋経済オンライン / 2024年11月17日 14時0分
食堂はすべての子どもたちに開かれており、訪れる子の中には相当数、虐待を受けている子やひとり親で目が行き届かない子、両親がいても家に居場所がない子らが混じっている。若葉区は市内のほかの区に比べて、小中学生を持つ困窮家庭も多いという。
さらに学生ボランティアの中にも、親と折り合いが悪く仕送りがないなど、支えを必要とする子がおり、「関わる子どもや若者の2~3割は、困りごとを抱えている印象です」。
田中さんが、親から暴力を受けて顔にあざをつくってしまった子を保護し、児童相談所の指示で一時保護所に連れて行ったら、親が自宅に押しかけ大騒ぎになったこともあった。
「もう食堂には行くな」という母の本当の思い
食堂の常連に、いつも閉館まで居残る小学生のきょうだいがいた。ひとり親家庭で、母親は仕事のため夜8時過ぎまで帰宅しないという。スタッフは食堂を片づけた後にきょうだいを家まで送るようになったが、あるとき母親にそれを見られた。母親には「もう食堂には行くな」と言われたが、子どもたちはその後もこっそりやってきた。
「大好きな親にうそをつくってつらいでしょう。こちらも切なくなっちゃって、リスクはあると思いましたが、お母さんと話をすることにしたんです」(田中さん)
母親に会い、「よかったら使って」と食材を渡した。後に上の子から、母親が食材を捨てていたと聞かされた。
しかしあるとき、「お母さんの分ももらってきてと頼まれた」と言うので弁当を持たせたところ、母親の態度が和らぎ、子どもたちも堂々と食堂に出入りできるようになった。
「お母さんは最初、私たちの行動をありがた迷惑だと思っていたのでしょう。でも本人からのSOSに答えたら、見方が変わった。諦めずに関わり続けることの大事さを学びました」
支援を受けることに引け目や罪悪感を覚え、困りごとを口に出せない親子もいる。
「『困っていません』という態度こそ、SOSのサイン。そういう子には『助けてもらった経験があれば“助け方”もわかるようになる。だから次に助ける側に回ればいいんだよ』と話すと、少し顔が明るくなります」
実際に今、ボランティアとして食堂を手伝う高校生の多くは、小学校時代に食堂へ通っていた子たちだ。そんな彼ら彼女らを見ている子どもたちがまた、成長して支え手に回るという好循環が生まれている。
田中さんは、「活動を続けるには、地域の人を巻き込むことが絶対に必要」と強調する。
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